戯瓢(けほん)踊を見たくて御坊まで[6]「御坊町の宵宮奉納」
by 丸黄うりほ
昨日の続きです。「御坊さん」こと「本願寺日高別院」の境内にいると、外から元気な声がきこえてきました。人々の動きにつられて正門から出てみると、「御坊町」と書かれた大きなノボリを数人がかりで走りながら運ぶ、勇壮な姿が見えました。(写真①②)
続いてやってきたのは、写真③。常に組の先頭を行くプラカードのようなもので、「額」と呼ばれるそうです。さらには写真④のお神輿がやってきました。みなさん、鳥居マークのついた祭礼衣装を着ておられます。
11月28日と12月5日の「ひょうたん日記」では、「小竹八幡神社」の氏子組は10組あり、そのうちの一つである「紀小竹組」の人々は衣装やお神輿などにひょうたんマークをつけておられることを書きました。それと同じく、鳥居マークは「御坊町」のマークなのです。
ちなみに、10組はそれぞれ「〜組」と呼ばれているのですが、5組目にあたる「御坊町」だけは「組」と呼ばれません。また、他の組は宵宮、本宮ともに「小竹八幡神社」に宮入りするのですが、「御坊町」だけは「日高別院」にて宵宮の奉納を行うのが決まりだそう。本宮では「御坊町」も「小竹八幡神社」に宮入りするそうですが、「戯瓢踊」だけは朝一番に御旅所の美浜町で行われるなど、細かいしきたりがあるようです。
「日高別院」の境内に、「御坊町」のノボリが持ち込まれました。(写真⑤)
続いて本堂前に「額」が到着。「額」の上に乗っている人形は、架空の生き物である猩猩(しょうじょう)。顔と足は人に似ていて、髪の毛は赤くて長く、大変な酒好きであるらしい。(写真⑥)
お神輿も境内に入ってきました。お神輿には、「乗り子」と呼ばれる歌舞伎の隈取のような化粧をした少年が4人乗っていて、神輿に乗ったまま身体を広げて見栄を切ります。観客からは盛大な拍手が起こりました。(写真⑦⑧)
さて、これから奉納される「戯瓢踊」は、どの角度から見るのがいちばん良いのでしょうか。観客のみなさんは境内の真ん中を広くあけ、すべての向きからぐるりと囲むようにしてびっしりと立っておられます。お神輿は境内の左に停められました。この状態では踊りが始まったら移動は難しいように思います。
迷いつつ、私はひとまず左に立ちました。鉦の音が聞こえてきました。正門のほうに目を向けると、黒い塗りの箱を持った黒衣の人を先頭に、紋付袴の人、花笠を被った一行が並んで入場です。(写真⑨)
いよいよ「戯瓢踊」が始まります!
(1259日目∞ 12月12日)
*「戯瓢踊」レポは次回で最終回です
※次回1260日目は奥田亮「でれろん暮らし」12月16日(月)にアップ。
1261日目は丸黄うりほ「ひょうたん日記」、12月18日(水)にアップします。