戯瓢(けほん)踊を見たくて御坊まで[4]「紀小竹組のお神輿に遭遇」
by 丸黄うりほ
昨日の続きです。御菓子司「有田屋」と「戯瓢(けほん)踊」が奉納される「本願寺日高別院」はすぐ近く。「日高別院」の門はすでに開いていましたが、中はまだ人も少なく、祭が始まる気配はありません。今からもう少し寺内町を散歩して「戯瓢踊」の始まる時間までにはここへ戻ってこよう……。
というわけで、私が次に目指したのは、ひょうたんマークの氏子組「紀小竹組」の拠点である本町界隈です。もしかしたら、本町に行けばひょうたんマークのノボリやちょうちんが見つかるかもしれないと思ったのです。
途中で、呉服屋さんのショーウィンドーに「御坊祭 傘揃え 全組十組」と書かれたミニチュアが展示されているのを見つけました。もちろん「紀小竹組」のひょうたんマークも発見。(写真①②)
本町は、昭和レトロな看板や店構えが目立つ商店街でした。明治大正の古民家が残る「日高別院」の周辺とはまた雰囲気が違います。
……と、前を見ると。
背中にひょうたんマークをつけた祭礼衣装の男性が数人、通りを歩いておられるのが目に飛び込んできました!(写真③)
おおおー、ついに出会うことができました!男性たちの後をついていくと、銀行らしき建物の前にお神輿が停まっているのが見えてきました!(写真④)
衣装だけでなく、お神輿の赤い屋根にもひょうたん。お神輿の内側に張られた布の模様もひょうたん。歌舞伎の隈取のようなお化粧をした少年たち(「乗り子」というそうです)の衣装の背中にも、六ひょうたん!(写真⑤⑥⑦)
さらに、その近くにはもう一台、別のお神輿も停まっていました。そちらの屋根に付けられたひょうたんマークには、雲がデザインされています。「水にひょうたん」という組み合わせの意匠はよく見かけますが、こちらでは「雲にひょうたん」。何か神々しい感じがします。(写真⑧)
その横には太鼓も停まっていました。太鼓の下にもひょうたんをデザインした布が使われています。すべてのお神輿にはビニールが被せられ、この日断続的に降っていた小雨から守られていました。(写真⑨)
私は、「紀小竹組」のお神輿はここで待機している状態なのだと思いました。そこで、祭礼衣装を着た男性の一人に思い切って尋ねてみました。
「こちらのお神輿が、小竹八幡神社で、宵宮の奉納を行うのは何時くらいになるのでしょうか?」
男性は「夕方。だいたい5時半か6時ごろやな」と教えてくださいました。
なんと、思っていたよりもずっと遅い時間帯です。4組目の「紀小竹組」がその時間ということは、9組全部の獅子舞や奴踊、雀踊の奉納が終わるのは、もしかしたら夜中になる……?
「そう、夜中まで。『御坊祭』は夜のお祭りやから」
日帰りにするつもりだった私は、下調べの不足を悔やみました。
(1256日目∞ 12月5日)
※次回1257日目は奥田亮「でれろん暮らし」12月9日(月)にアップ。
1258日目は丸黄うりほ「ひょうたん日記」、12月11日(水)にアップします。