謡とDJとひょうたん楽器にダンス……。いったいどうなるんだろう
by 奥田亮
先週は、新楽器「六病雨乞杖」(レインスティック)が湯浅先生のアドバイスを経て一応の完成をみたとご報告しましたが、10月27日に再デビューともいうべき機会がありました。小布施町立図書館「まちとしょテラソ」が開催する「物語祭」です。
「物語祭」は物語をキーワードにワークショップやステージ、クラフトやフードのマルシェが、図書館に隣接する小学校のグランドで展開する秋祭りのようなイベント。そこに出演依頼を受けた若き能楽の謡(うたい)手、牧周平さんから共演のオファーがあったのです。牧さんとは過去にも何度か共演させていただいていて、お互いの波長が合うのか、いつも心地よい空気感で演奏することができます。いつもの感じで臨めばいいのかなと思っていたら、今回は持ち時間も長く、屋外ステージということもあって二人では心もとないということで、DJとダンサーを加えた4人でのステージになりました。
謡とDJとひょうたん楽器にダンス……。いったいどうなるんだろう?? 不安はありましたが、打ち合わせと音合わせを経て、なんとかいい落としどころがみつかったように思います。メインは謡ですからDJといってもノリノリ、というわけではなくて、前段は波の音などの環境音や静かなピアノ曲など、比較的アンビエントな感じで進行します。そこに「六病雨乞杖」やひょうたんベース等を重ねていくのは親和性も高く、DJが作ってくれる空気感の中での演奏は、心地よい陶酔感がありました。後半はダンサーが登場して次第に盛り上がり、DJらしいダンサブルな曲調になるのですが、リズムに合わせるのは難しそうだし、それはどうも似合わない。でれろんとしたひょうたん楽器でどう絡むか、悩んだ末に、ひょうたんベースを弓でチェロのように(?)弾いて、何とか乗り越えました。
ひょうたん楽器というかなり特殊な楽器は、いつも音響さん泣かせ。今回も音が聞こえないというところから始まってようやく何とかなったのですが、十分なリハの時間もなく、現場での音合わせができないまま本番に突入してしまいました。周りの音と混ざり合って自分の出す音が出ているのか出ていないのかよくわからない時もあって(まあこれは、だいたいいつもライブで起こることではあるのですが)、少々消化不良気味に終わってしまったのは残念でした。
とはいえ、暑すぎるぐらいの晴天に見舞われて、のどかな秋の一日を過ごすことができました。出店している人も、参加している人も、遊びに来ている人も、みんな幸せそうです。衆院選の投票日と重なったこの日、この平和がずっと続きますように、と柄にもないことばが心によぎったのでした。でれろん。
(1240日目∞ 10月28日)