愛すべき曲がりひょうたん@京都府立植物園
by 丸黄うりほ
前回(1224日目)の「ひょうたん日記」にアップした写真をみて、ヒョータニストのフェイ・ターンさんから鋭いツッコミが入りました。「右の細長いクネクネ子はなんですか?」
そうなんです、このクネクネ子。じつは京都府立植物園のひょうたん棚のなかで、私が個人的に最も魅せられた実でした。しかし、あえて前回は紹介せず、きょうのためにとっておいたのです。
このひょうたんの品種はおそらく、「長瓢」だと思います。通常の「長瓢」は、細長い2メートルくらいの筒型、あるいはゆるやかなひょうたん型になるのですが、このひょうたんは、なんともいい感じにクネクネしている。
蔓につながっている上の方は、比較的まっすぐで、下へいくと少し細くなり、真ん中を越えたあたりでクネクネと2回ほどひねりが入っています。素晴らしい造形バランス。こんなひょうたんはどうやったら生まれるのでしょうか?
近づいて観察してみましたが、紐などをかけて人工的に変形させたものではないようです。ひょうたんマニアのなかには、ひょうたんを紐で縛ったり、ガラス板で挟んだりして、わざと変形させて楽しむ変態……もとい、愛好家がいらっしゃいますが、ここは植物園ですから、そんなことは行われていないと考えるのが普通でしょう。
真面目に回答すると、このようなひょうたんの変形の原因は、水が足りてなかったり過剰だったり、極端な気温の変化や光の強度、土壌の栄養分の不均衡、なかでもホウ素の欠乏などが考えられるようです。また、モザイクウイルスなどの病原体などが原因になることもあるようで、防ぐためにはなるべく均一の灌水、農薬散布、定期点検による摘果などが推奨されています。
しかし、上記のような予防や対策を行っても、やはり奇形や変形ひょうたんは生まれると思います。逆にいえば、上記のようなことをわざと行って環境を悪化させても、ただ苗が弱るばかりで変形瓢が生まれるとは限りません。
私は、このようなひょうたんは一種のギフテッドだと考え、抵抗せず、愛でるのがいちばんなのではないかと思います。とくに、このクネクネ子の可愛らしさときたら。アートにも通じる美があります。どの角度から見ても楽しく、何時間眺めていても飽きない。(写真①〜④)
京都府立植物園のひょうたん棚では、このクネクネ子以外にも、曲がりひょうたんがもう一つ見つかりました。写真⑤がその実です。品種は何かわかりません。おそらく「百成」か「十成」、標準的なひょうたん型の品種だと思うのですが、もしかしたら「マランカ」や「ミニ鶴」と交雑してできたのかもしれません。それにしても、これも本当にいい形。
写真⑥は、ひょうたんではなくヘビウリです。ヘビウリはもともとクネクネと曲がる品種ではあるのですが、この曲がり方は感動的ですね。飾っておきたいくらいです。
飾っておきたいといえば、蔓が切れて棚から落ちてしまったらしいひょうたんが、棚の横のすだれの上に置いてありました。こうやって、ぽつんと一つ置いてあっても、やはりひょうたんは絵になります。(写真⑦)
ひょうたん棚の隣の畑では、推定直径60センチを超える巨大カボチャが横たわっていました。カボチャはひょうたんとは違い、このように地面に這わせて育てるのが普通のようです。(写真⑧)
ひょうたんの全盛期である夏が終わると、カボチャの季節。ハロウィンの秋がまもなくやってきます。
(1225日目∞ 9月18日)