ひょうたんずかん@京都府立植物園(その3)
by 丸黄うりほ
先週に続いて、京都府立植物園「四季 彩の丘」にあるひょうたん棚から、最盛期のひょうたん栽培画像をお届けします。
その1では、ひょうたん型をしたひょうたん6種を、その2では、ひょうたん型ではない「長瓢」系と「鶴首」系のあわせて8種を見てもらいました。きょうも引き続き、ひょうたん型ではないひょうたんを紹介します。じつは、ひょうたん型ではないひょうたんの方が種類が多いんですね。
まずは写真①を見てください。「小だるま」という品種。ふっくらと丸く、頭がとんがった、涙のような型をした可愛いひょうたんです。だるまと言われるとそうかな?という気もします。ふくらみは一つだけで、くびれはありません。この写真のときで10センチほど。完熟するともう少し大きくなると思います。
続いて写真②。これは「台湾食用ひょうたん」といいます。まだ受粉したてで、表面がつるつるぴかぴか光っています。去年、京都府立植物園でひょうたん観察をした時は、だいたい20センチから25センチくらいの実がいっぱいなっていました。大きくなってもこの形は変わりませんが、表皮の緑色が濃く、はっきりとした白い斑入りになると思います。去年ここで出会うまで、私は食用ひょうたんといえば、極小ひょうたんの若いものを柴漬けや奈良漬にしたものしか知らず、この大きな「台湾食用ひょうたん」にはびっくりしました。
写真③は、「10貫目」と名付けられたユウガオ。この写真ではまだメロンくらいの大きさですが、最終的には直径40センチの球形になる大型種です。このような丸くて大きなユウガオの実からは、巻き寿司などに入れる干瓢(かんぴょう)が作られます。
ユウガオとひょうたんは、学名まで同じLagenaria sicerariaで、植物としては同一種。何が違うかというと、ユウガオは食用になり、ひょうたんは普通は食用にならないということだけ。ひょうたんにはククルビタシンという毒があるのです。食用ひょうたんはククルビタシンを含まず、つまりほぼユウガオだと言えそうです。
ユウガオには「長瓢」に似た形のものもあり、台湾や奄美などでは皮をむいてトウガンのように煮たり炒めたりして食べられているようです。ちなみに、私が昨年ベランダで育てたのは「長瓢」タイプの「オオナガユオガオ」でしたが、もったいなくて実を食べることはできませんでした。そのかわり、ひょうたんと同じように収穫して水浸けにし、皮を残しました。いつか楽器にしてやろうと目論んでいます。
さてさて、「ひょうたんずかん」もいよいよ佳境です。
写真④をご覧ください。メロンのような球形の実。しかし、その表皮にはびっしりとイボがあります。そうです、これが「縮緬いぼ瓢」であります!
今年の夏、もともとは我が家のベランダでの栽培を予定していたのに、居住するマンションで大規模修繕工事が行われるというアクシデントに見舞われて、移動せざるを得なくなった「ハドリアヌス」と同じ品種です。幸い「ハドリアヌス」は「花形文化通信」の塚村編集長に引き取ってもらい、栽培を継続できたのですが……。
それにしても、見れば見るほど、じつに変わったひょうたんです。「ひょうたんずかん」として、いろいろなひょうたんを紹介してきましたが、やはりこれがいちばん変。形はともかく、イボイボに強烈なインパクトがありますね。「これもひょうたんなんですよ!」と、あえて言われないと、とてもひょうたんには見えません。イボイボの感じは、同じウリ科のゴーヤとも違うし。
京都府立植物園「四季 彩の丘」のひょうたん棚では、毎年ゴーヤや鹿ケ谷カボチャなど、ひょうたん以外のウリ科植物が数種類だけ一緒に植えられています。
写真⑤はヘチマです。こちらのほうが「縮緬いぼ瓢」よりもよほどひょうたんらしい見た目をしていますが、ヘチマとひょうたんは別の植物。葉の形も花の色も違います。
そして、写真⑥はヘビウリ。ここに写っている実はとぐろを巻いた姿がまさしくヘビのようですが、まっすぐに伸びた実は「長瓢」によく似ています。しかし、これもひょうたんとは別の植物で、カラスウリに近い種なのです。
ああ、それにしても。ウリ科植物はどれも可愛いですね。いろいろな形や大きさの実をつけて、私たちの目を、心を、思いきり喜ばせてくれます。毎日ぐんぐん大きくなり、変化していく植物なのも楽しい。
京都府立植物園には、夏の間にもういちど行かなきゃ。次に訪れたときはまた別の姿を見せてくれることでしょう。みなさんもぜひ、足を運んでみてください。
(1217日目∞ 8月28日)