ひょうたんずかん@京都府立植物園(その2)

by 丸黄うりほ

①「長瓢」。長さ2メートルにもなる、一方のひょうたんの横綱

②「スーパー長瓢」。育て方によって3メートル以上になります

③「長太瓢」。長さ、太さ、くびれを兼ね備えた品種

④「鶴首」。長いハンドルに、ふくらみ一つ。このタイプの原型

⑤「ミニ鶴」。初めて見かけました。新品種?

⑥「ロングハンドルディッパー」、別名「アメリカ」

⑦これも「アメリカ」? なんだか怪しい

⑧「マランカ」。うまく育てば長さ1メートルほどになるそう

⑨「かど瓢」。ヒョータニストさんたちが栽培中の品種です

きのうに続いて、京都府立植物園「四季  彩の丘」のひょうたん棚から「ひょうたんずかん」レポートをお届けします。

きのうは二つのふくらみと、きゅっと締まったくびれをもつ、ひょうたん型のひょうたんばかり6種類を紹介しました。ひょうたんと聞いて連想するのは、あの形をした実でしょう。しかし、じつはひょうたんの形はもっとバラエティに富んでいるのです。

写真①をご覧ください。このひょうたんは「長瓢」といいます。「大瓢」がひょうたん界の東の横綱だとすれば、こちらは西の横綱とでもいうべき存在。この写真はまだ成長途中で1.5メートルくらいでしたが、完成すれば長さ約2メートルになります。

「長瓢」は細長いながらもゆるやかなくびれを持つ形が愛瓢家の理想だそうで、すりこぎのようにくびれのない形は嫌われるらしいです。栽培には高度な技術が必要。蔓をある程度の高さの棚に上げ、実を空中にぶら下げて育てないと、実の先端が地面に当たり、丸まって「し」のような形になってしまいます。とにかく長いひょうたんですから、収穫後の水漬けも「大瓢」以上に大変そうです。憧れのひょうたん、私もいつか畑を持ったら育ててみたいなぁ。

続いて写真②にいきましょう。これは「スーパー長瓢」といい、その名の通り長瓢を超えるスーパーな実ができます。なんと3メートル以上の長さをもつひょうたんがなる改良品種です。この写真ではまだ細く、1.5メートルくらいでしたから、まだまだ太く長くなるはず。こちらも、また日を改めて観察しに行かなければなりません。

写真③は「長太瓢」。長さも太さも兼ね備え、ゆるやかなくびれも持っている、全部盛りともいえるひょうたんです。この写真で2メートルくらいになっていますが、まだ皮の色が青いので、ここからまだ形が変化しそう。これもまた日を改めて観察しに行く必要がありそうです。

以上「長瓢」の仲間たちは、細長い形だけれど、やはりゆるやかなくびれをボディに持っているのが、ひょうたんらしいといえばひょうたんらしい。

ところが、下部にふくらみが一つあるだけで上部はまっすぐなハンドル状、くびれといえるようなものを持たないひょうたんもあるのです。

その代表格ともいえるのが、写真④の「鶴首」です。これは古くからある品種で、半分に割るとスプーンのような形になることから、水や酒などを汲む柄杓として使われてきました。ひょうたんを表す「ひさ」「ひさご」といった語と、「ひしゃく」は関連語だともいわれています。

「鶴首」は栽培も比較的簡単で、私も以前育てたことがありますが、1苗で30個くらい実がつきました。長さは大きいもので40センチくらいになります。

写真⑤は「ミニ鶴」。こちらは名前だけは知っていたものの、実がなっているところは初めて見ました。ハンドル部分は「鶴首」より短いですが、球の部分は直径10センチくらいで「鶴首」と同じくらいの大きさです。濃い緑色の表皮に白い斑が入っているのが目を引きます。

濃い緑色に白い班といえば、写真⑥。「ロングハンドルディッパー」、またはアメリカから入ってきたことから「アメリカ」とも呼ばれるひょうたんです。こちらはハンドル部分が大変長く、全体で70センチくらいになります。

写真⑦は、「アメリカ」の蔓になっていたものですが、表皮の色が違います。そして、なんとなく球の部分にシワがあるような感じ? 近くに写真⑧の「マランカ」がなっていたので、もしかしたら両方が交雑したのかもしれません。ひょうたんは大変交雑しやすく、純血種を作りにくい植物でもあるのです。

「マランカ」は、ふくらみ部分に山脈のような突起のある珍しいひょうたんです。この写真の実はまだ成長途中で、突起が浅く、大きさも20センチほどでした。順調に育てば1メートルほどになるらしいです。

そして、「マランカ」と形はよく似ているけれど、やや小型の実がなるのが「かど瓢」です。そう、今年我が家のベランダで苗づくりをし、ヒョータニストさんたちに現在育ててもらっている珍品種がこれです!

写真⑨をご覧ください。京都府立植物園では、「かど瓢」がこんなふうに鈴なりでした!

濃い緑色をした表皮に、血管のようなスジが何本も浮き上がった姿は、たくましい男性の腕のよう。別名「恐竜ひょうたん」と呼ばれる通り、なんだか爬虫類っぽい雰囲気ももっています。ヒョータニストのかよさん宅や、杉浦こずえさん宅でなっている「かど瓢」は白い斑入りでしたが(「ひょうたん日記」1209日目)、こちらの実には斑が入っていません。大きさは30センチほどで、一苗に10個くらいついているようでした。

これほど絶好調だということは、ヒョータニストさんたちの「かど瓢」も、まだまだたくさん実る可能性があるということだと思います。期待していますよ!

(1215日目∞ 8月22日)

*続きます

※次回1216日目は奥田亮「でれろん暮らし」8月26日(月)にアップ。

1217日目は丸黄うりほ「ひょうたん日記」、8月28日(水)にアップします。