ひょうたんの花、ユウガオについて

by 丸黄うりほ

▲雌花ばかりがキラキラ咲いています。

 

先週末からなんと第3の花ピークを迎えたひょうたんウェスパシアヌス。しかし、昨日の日記で書いたとおり、なぜか雌花ばかりです。ひょうたんは雄花と雌花が一夜に咲き揃わないと受粉できず、実になることができません。

ですが、ほんとうに奥手の雌花たち、きれいなんですよ。あまりにもきれいなので、写真を撮りました。せめてみなさんに見ていただけたらな……と思います。

『枕草子』の「草の花は」の段にも、ひょうたんの花について書かれた一文があります。

「夕顔は、花のかたちも朝顔に似て、いひつづけたるに、いとをかしかりぬべき花の姿に、實のありさまこそ、いとくちをしけれ。などさはた生ひ出でけん。ぬかづきというもののやうにだにあれかし。されど、なほ夕顔といふ名ばかりは、をかし。しもつけの花。葦の花。」

ここに出てくる「夕顔」は、アサガオ、ヒルガオなどと同じヒルガオ科のヨルガオ(通称としてしばしば夕顔と呼ばれる)のことではありません。ウリ科植物のユウガオ、つまりひょうたんの花のことなのです。

この文章の中で清少納言は、ひょうたんの花のことをとりあえず褒めています。しかし、実のことをディスっています。「花は可愛いのに、実がブサイク。ほおずき(ぬかづき)程度ならよかったのに」などと言っています。

うーん。「をかし」の大家・清少納言にしては、ちょっとひょうたんに対する感受性が疑われますよね。ひょうたんの花はたしかにきれいです。ちょっと儚げで、平安時代の貴族の心にもフィットしたのでしょうね。だけど、ひょうたんの実の形のかっこよさは、モード系というか、アバンギャルドというか、もっと飛び抜けています。この美がわかってもらえなかったのは、非常に残念です。

ところで、ユウガオといえば、昨日こんなニュースが出ていました。

「ユウガオの実を食べ、男女4人が食中毒 長野」(毎日新聞ニュース)

https://mainichi.jp/articles/20190924/k00/00m/040/012000c

苦味の強いユウガオ、毒のあるユウガオ、それはつまりひょうたんのことです。おそらく、食用のユウガオと、とても近い品種であるひょうたんが交雑してしまったのでしょうね。