縮緬いぼ瓢「ハドリアヌス」の摘心をしました!
by 丸黄うりほ
我が家では毎年、ベランダで栽培するひょうたんの苗に、ローマ皇帝の名前をつけています。今年のひょうたんは縮緬いぼ瓢という珍種で、呼び名は「ハドリアヌス」。
縮緬いぼ瓢「ハドリアヌス」……、という文字列が醸し出すおかしみに、私はこの名を口に出すたび、ついニヤニヤしてしまいます。この笑顔を他人がみると、さぞや不気味でありましょう。
さて、その「ハドリアヌス」。5月14日にプランターに定植し、その3日後に殺菌剤のベンレートを灌注。さらに3日後に活力剤のリキダスを灌注。その2日後には殺虫剤のオルトランをまきました。
ベンレートは、ひょうたんがかかる病気のなかで、最も恐ろしい伝染病である蔓割れ病と蔓枯れ病を予防するためのもの。私は、毎年この薬を植え付けから数日後に、必ず灌注することにしています。人間でいうと、子どもの時に水疱瘡やはしかの予防接種をするような感じ。
定植は人間でいうと手術を受けるようなもので、ひょうたんの苗が新しい環境に適応できず、栄養をうまく取り込めないことがあるようです。葉の色がいまいちよくないなと思ったら、リキダスを与えると回復します。私は数年前からリキダスも定植の初期プログラムに組み込んでいます。
オルトランは、ひょうたんを襲う虫のなかで最も凶悪なウリハムシを避けるために与えます。こいつは葉を噛むだけでなく、根も切ります。そのほか、ひょうたんの敵としてはナメクジが最恐なんですが、幸いなことに我が家には出現していません。
写真①は定植から1週間後、5月21日に撮影したものです。本葉7枚、巻きひげが支柱に巻きつき始めました。
蔓はあっという間に伸びます。ほっておくとめちゃくちゃになりますので、支柱に沿って伸びていくように誘導してやります。ビニタイや紙テープなど、誘導に使うのはなんでもいいのですが、私は数年前から写真②の園芸クリップを使い始めて作業がラクになりました。
5月26日には、蔓の先端がベランダのラティスと同じ高さになりました。本葉は10枚。いよいよ摘心です!(写真③)
摘心というのは、蔓の先端の最も元気のいい部分をチョキンと切り取ってしまうこと。なぜそんなことをするのかというと、脇芽を伸ばすため。最初の蔓(親蔓といいます)の先端を切ると、脇から子蔓が出てきます。この子蔓を2本(または3本)残して伸ばし、また先端を切る。すると、また孫蔓が出ます。ひょうたんの実は、この孫蔓にたくさんつくのです。
よく「摘心は本葉何枚でするのがいいのですか?」と聞かれるのですが、特に決まりはありません。栽培スペースが小さくてコンパクトに育てたい場合は5枚ほどで止めます。我が家ではラティスの高さを目処にしていますので、千成で12枚、大型種では9枚ほど。
とはいえ。必要なことだと分かっているものの、摘心はいつも緊張します。なんとなく植物が可哀想に思えてくる。
「ハドリアヌス、ちょいと痛いよ。我慢だよ!」
……と、私は声をかけ、その先端をチョキンとやりました。切り口からは水分がじわっと滲み出てきて、まるで血を流しているようです。
菌などの侵入を予防するため、切り口にはペースト状の殺菌剤トップジンを塗りました。また、親蔓には金色のビニタイを結び、印をつけました。印がないと、すぐにどれが親蔓かわからなくなってしまうのです。(写真④)
定植から摘心まで約10日から2週間。この間の水やりは3日に1回ほどで大丈夫。ただし、鉢やプランターが小さい場合は毎日水やりする必要があるかもしれません。
写真⑤と⑥は、5月29日に撮影したものです。上のほうの葉が大きく育ってきました。また、⑥のように脇芽(子蔓)も出てきました。
さあ、これからは子蔓の時代です!
(1183日目∞ 5月30日)
※次回1184日目は奥田亮「でれろん暮らし」6月3日(月)にアップ。
1185日目は丸黄うりほ「ひょうたん日記」、6月5日(水)にアップします。