ひょうたん楽器ワークショップ in「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2024」
by 丸黄うりほ
毎年ゴールデンウィークに、東京・丸の内の「東京国際フォーラム」で開催されている大規模なクラシック音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO」。そのなかで、今年はひょうたん楽器を集めたコンサート&ワークショップが行われるということを、東京都国分寺市のヒョータニスト、「むらさきmusicラボ」主宰の坂本真理さんに連休前に教えていただきました。
5月3日に行われるというその催しのタイトルは、「打楽器ワークショップ 〜民族楽器のオリジン“ひょうたん”〜」。
イベントでは、おもに南米やアフリカに伝わるひょうたん製の民族楽器を集めて紹介。講師は、少年時代をカナリア諸島で過ごし、現在は多様な音楽ジャンルで世界的に活躍している打楽器奏者のヤヒロトモヒロさん。さらに映画音楽などでも大活躍のマルチアーティスト宮田岳さんと、コラ奏者の安田尚樹さんも一緒に出演されるということで、「これは、東京に行かねばなるまい!」と、私もいったんは旅を計画していました。
しかし、なんということでしょう、インバウンドで大人気の東京は、宿がとれない。日程的にも混雑のピークだったようで、泣く泣くあきらめました。
そのかわり、当日会場でイベントのスタッフもつとめられた坂本さんが、どんな感じだったかを教えてくださることになりました。「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2024」の公式写真をご提供いただくことができましたので、写真を見ながら振り返っていくことにいたしましょう。
このイベントは、音楽祭の中の「こどもたちの音楽アトリエ」という、ワークショップのコーナー。ということで、音楽やリトミックの教育をしている「むらさきmusicラボ」の生徒さんたちもたくさん来場されたようです。
ビーズや豆を入れたペットボトルやお菓子の箱、なかにはひょうたんを手にした子も!シャカシャカ鳴るお手製の「楽器のオリジン」を持参して、すでに彼らも一緒に演奏する気まんまんです。
ステージに登場したヤヒロさんは、アフリカのガボンに滞在した時、水汲み場にひょうたんを手にした人たちが集まってきて、それぞれが踊りながら水汲みをしていたのを目撃したのだそう。「一人ひとりのひょうたんから生まれるビートが組み合わさって、大きなひとつのリズムになり、人々が陽気に歌って踊りながら井戸まで歩く風景は、音楽の原点だ。これこそがリズムのオリジンだ!」と感じたと言います。(写真①)
坂本さんは、「このヤヒロさんのひょうたん体験が、今回のイベントの重要なカギだ!」と響きあいました。
ガボンの話に続いて、ヤヒロさんはひょうたん楽器シェケレを演奏。このシェケレ(写真②・左端)は、坂本さんが製作し、ストラヴィンスキーのバレエにちなんで「ペトルーシュカ」と名付けたもの。
さらにブラジルのひょうたん楽器であるビリンバウ(写真③)や、アフリカのひょうたんドラム、カラバッシュ(写真④)などを演奏しながらつぎつぎに紹介しました。
ヤヒロさんの演奏技術と、会場の環境やPA技術などが合わさって、それらのひょうたん楽器から鳴り響く音は「今まで聞いたことがないくらいすごかった!」と坂本さん。ああ、まさにひょうたんの晴れ舞台ですね。お話を聞いただけで興奮してしまいます。その音、私も聴いてみたかったなぁ。
宮田岳さんがステージに登場された後は、ギターとカラバッシュのセッションや、バラフォンの連弾が行われました(写真⑤⑥)。さらに、セネガルやマリに渡ってコラを学んだ安田尚樹さんも登場し、コンサートはいよいよ佳境に突入です(写真⑦⑧)。
ひょうたん楽器の底力……!
そして、楽器のオリジンとしてのひょうたんの魅力……!
プロのミュージシャンと一緒に、手作りのひょうたんマラカスや、ペットボトルのシャカシャカを鳴らした子どもたちのキラキラした笑顔も、会場いっぱいにあふれて広がりました。その若くやわらかな心に、ひょうたんのタネがパラパラとまかれた瞬間を、ヒョータニストの坂本真理さんは「ふふふ」と微笑みながら見届けたのでした。
(1179日目∞ 5月22日)