どこまで弾けられるのかは、私の素養の問題

by 奥田亮

ひょうたん笛を吹きながら登場。手前にあるのはジャガイモの展示

楽器解説を少々

ダルマスピーカーは残念ながらノイズが大きくて結局不使用。ビジュアルとして置いておきました。

長瓢踊り?

長瓢をメガホンにして「じゃ〜がいも〜」と歌う

歌いながら会場を徘徊(以上いずれも撮影:中島敏子)

1月14日(日)は、上田市にあるブックカフェ「本と茶 NABO(ネイボ)」で開催されている「馬鈴薯展」のイベント「馬鈴薯のための演奏会」に出演しました。「馬鈴薯展」は、日本在住の中国人アーティスト馮馳(Hyo ti)さんのインスタレーション等を展示する摩訶不思議な展覧会。会場に設置された小屋の中のジャガイモを穴から覗き見る作品や巨大な張りぼてのジャガイモなど、ジャガイモ愛に溢れています。

「馬鈴薯のための演奏会」は、どことなく馬鈴薯に合いそうなアーティストを集めたとのことで、出演した4人は、いずれも一筋縄ではいかない独自の世界観を持つアーティスト。エンタテインメントとは一線を画した表現が見ていてとても心地よかったのでした。主役の馮さんのパフォーマンスは自らの出自や現在を馬鈴薯と絡めながら詩的な世界に凝縮させた作品で、どこか70〜80年代のパフォーマンスを彷彿とさせ、私のような世代には懐かしさと心地よさがありました。映像と音楽で白日夢のような幻想的な世界を現出させたdaboraboさん、ギターの弾き語りという形式をとりながら、「音楽」が成立するギリギリまで削ぎ落とした斎藤友秋さんの演奏、と骨太の表現が続き、私は最後の出番となりました。(主催者の記録Instagramへ

他の出演者の演目を観ながら、さて自分はどんな路線でいけばいいのか、ずっと考えていました。一連の流れに則ってアーティスティックにいくか、最後なので多少逸脱した方向に持っていってもいいのか。ギリギリまで決めかねていましたが、お客さんの様子を見ると、多少方向の違うことをやってもオッケーな空気を感じたので、ちょっと弾けてみることにしました。とはいえ、どこまで弾けられるのかは、私の素養の問題です。演奏の大まかな流れは考えていたのですが、具体的にどんな音になるのかは未定。自分のテンションを保つために楽器のチューニングもろくにしないで、現場で合わせるようにしたのも奏功して、いい感じのノリが保てました。

梁にぶら下げていた「ヘビオ」を演奏しようと降ろした途端、ネックが割れて崩れ落ちるという「おいしい」(?)ハプニングも手伝って、何やらお客さんも盛り上がっている様子です。とうとう私は、長瓢を持って踊り、最後には「じゃ〜がいも〜!」と歌いながら会場を歩き回っていました。お客さんにも喜んでいただけたようでした。

そこまでやるとは、自分でもびっくり。ひょうたん持って歌って踊るなんて、多分自分史上初ではなかったでしょうか。きっと観ていたお客さんには、いつもそんな芸風なんだと思われたかもしれません。次も同じようなステージを期待されても困ってしまいますが、一番困るのは、次回も同じようにやってしまうかもしれないという自分自身への期待の方です。ああ、次へ行かねばなりません…、でれろん。

(1133日目∞ 1月22日)

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