世界のひょうたん楽器 その3「管楽器」
by 丸黄うりほ
▲タイ、ミャンマー、中国のひょうたん笛「フルス」。
第3回目のテーマは管楽器。きょうは、世界のひょうたん笛を紹介します。
まず、ひょうたんに穴をあければ、そのまま加工なしでも音が鳴らせます。吹きならすのはコツが必要ですが。カメルーンでは、長いひょうたんを角笛のように吹く楽器があるそうです。東アフリカには、ひょうたんの両端を切り落として、西洋楽器のラッパの形のようにしたひょうたん笛もあるらしい。
小さいひょうたんに穴をあけて鼻で鳴らす「鼻笛」は、ハワイやアマゾンにあるらしいです。また、その笛に竹製の吹き口をつけた楽器がマダカスカルにあるのだとか。以上の楽器は、まだ私は自分の目で見たことがありません。あまりにも簡単な構造すぎて、民族楽器店などにもおいてないようです。
楽器らしいひょうたん笛といえば、インドの「蛇使いの笛」。ひょうたんに2本か3本の管をつけたもので、蛇を踊らせます。しかし、じつは蛇は音に反応しているのではなくて、振動に反応しているらしい。
2015年に東京の国立科学博物館で開催された「世界のヒョウタン展-人類の原器」では、「ひょうたん笙」がいくつも展示されていました。インド、インドネシア、ミャンマー、タイ、マレーシア、中国にも竹の管とひょうたんの共鳴器から作られた笙があるようです。
タイ、ミャンマー、中国などで愛好されている「フルス」は、ひょうたんの口部にリードがついていて、たいていは3本の竹管がついています。真ん中の竹は太く、穴があいていて、この管で音階を出します。そして、あとの2本でドローン(持続音)を演奏するのです。ひょうたん笛といえば一般的にはこの「フルス」を指すほど、代表的なひょうたんの管楽器だと思います。
アジアの楽器では、竹とひょうたんの組み合わせが目立ちますね。笙という文字は、「竹」と「生」きるのに欠かせないひょうたんの組み合わせから生まれたという説もあるほどなのです。