世界のひょうたん楽器 その2「弦楽器」
by 丸黄うりほ
▲西アフリカの「コラ」は21本もの弦をもつ高度なひょうたん楽器。
昨日に続いて、世界のひょうたん楽器をどんどん紹介していきましょう。きょうのテーマは弦楽器です。弦楽器の場合、ひょうたん自体を鳴らすというよりは、ほぼすべてがひょうたんを共鳴器として使った楽器ということになります。
弦楽器のルーツは、獲物を捕ったり、戦ったりするときに使っていた弓。その弓に張った弦をブンブンと鳴らす。そこにひょうたんをくっつけると共鳴して音がぐっと大きくなります。マダカスカルやアフリカに伝わる「弓琴」は、1本の棒に、動物の腸や金属、ナイロンなどでできた弦を1本張り、棒の真ん中に半割りにしたひょうたんをくっつけて、それを腹に押し当てて演奏します。
ブラジルの1弦楽器「ビリンバウ」も、アフリカから伝わった「弓琴」がルーツだと言われています。こちらは「カシシ」と一緒に演奏するのが定番。「カシシ」は、底に丸く切ったひょうたんを使い、籐で編み上げて、中に小石などを入れてジャラジャラと鳴らします。
ベトナムの1弦楽器「ダン・バウ」も、もともとはひょうたん楽器。竹に弦を張って木の竿に結び、共鳴器としてひょうたんを使っていました。
インドには、「エクタール」とか「ゴピチャンド」と呼ばれる1弦楽器があります。ひょうたんの上部を切って皮を張り、それを竹で挟んだ構造で、竹を握ったり緩めたりしつつ、弦を弾いて演奏します。ひょうたんに竿を差した形状のものもあって、これも「エクタール」と呼ばれます。「エクタール」とは1弦という意味。
後述したタイプの「エクタール」には、弦数が多いものもあって、それが進化したのが「タンブーラ」(4弦)や、「シタール」(7弦以上)です。
西アフリカでも、ひょうたんに竿を差し、弦の数を増やした楽器が発達。「コラ」と呼ばれる楽器は、なんと21 本もの弦が使われ、グリオと呼ばれる専門の楽師までいるそうです。また、東アフリカでは、横に渡した棒から弦が張られ、「リラ」が発達しました。
ということで、ひょうたん弦楽器はアフリカ、アジアに多いのですが、西洋楽器のリュートやギターやバイオリンなども、ボディがなんとなくひょうたんぽい形をしていると思いませんか?それらの楽器も、ルーツはひょうたんなのではないか?と思わずにはいられません。