世界のひょうたん楽器 その1「打楽器」
by 丸黄うりほ
今年も、「ベランダにぶらさがっているひょうたんでどんな楽器を作ろうかな?」と考え始める時期がやってきました。
「ひょうたんを栽培して、その実から自作楽器を作って演奏しています」というと、「なんじゃそれ?」という反応が返ってくることが多く、私も以前はそうでした。初めて奥田扇久さんの自作ひょうたん楽器を見たときは、「なんと変わったことをしている人だろう」と思ったものです。
しかし、自分が瓢道にのめり込んでいき、ひょうたんについて勉強してみると、それは勘違いであったことがよくわかりました。むしろ、ひょうたんは楽器の原点。外側がかたく、中が空洞でクッション質であるために、響きがとてもいいのです。そんなひょうたんの性質を利用した民族楽器は、世界中にあります。
まず、打楽器から紹介していきましょう。
ひょうたんを収穫して乾かしたときにタネが中に残っていると、そのまま天然の「マラカス」ができます。なかに豆や米、ガラス玉などを入れてもいい音。「マラカス」はアフリカ、ラテンアメリカにいろいろな種類のものがあります。
ひょうたんの表面に網をはって、タネなどをぶら下げてじゃらじゃら鳴らす楽器は、「シェケレ」とか「シェフレ」と呼ばれ、ラテン音楽で大活躍。
ハワイのフラダンスに使う「イプ」もひょうたん楽器。「イプ」には2タイプあって、大きなひょうたんの上部を半分カットした「イプヘケ・オレ」と、ひょうたんを2つくっつけた「イプヘケ」があります。どちらも叩いて演奏します。
長ひょうたんの表面に溝を彫り、金属の棒などでこすって音を出す楽器は「ギロ」など、ラテンアメリカに広く分布。国によって、ちょっとずつ名称や仕様が違っていておもしろいです。
また、大きなひょうたんに動物の皮を張って叩いたのが太鼓のはじまり。アフリカ、アジアなど世界中にひょうたん太鼓があります。
アフリカの「カリンバ」や「ムビラ」は、傘の骨や針金などの金属で作った鍵盤に、共鳴器としてひょうたんを使った楽器。
ひょうたんを共鳴器として使った打楽器のなかで圧巻なのは、おそらく西アフリカの「バラフォン」でしょう。木琴の下に、大きさの異なるひょうたんがいくつもぶら下がっています。そのビジュアルだけでも、ひょうたん好きにとっては夢のような憧れ楽器です。ああ、いつかは自分のひょうたんで、「バラフォン」を作ってみたい……(ため息)。