ひょうたんがそんなに優先順位の高い目的だったとは!
by 奥田亮
ブドウ農家でアルバイトしているよっしーがブドウを持ってきてくれました。毎年この時期になるとバイトしていて、何かの折には持ってきてくれるのです。ありがたや。今回はまた趣向をこらしていて、いろんな品種を少しずつ、名前入りで箱に並べて持ってきてくれました。ブドウといえば、シャインマスカットと巨峰ぐらいしか知らなかったのですが、なんとたくさんの種類があることよ。
この季節、ブドウやリンゴなどの果物と共に、いやそれ以上に人気なのが小布施の栗。数件の栗菓子屋さんがしのぎを削る小布施町には、9月〜10月、新栗を求めてお客様が大挙して訪れます。休日ともなれば、あちらこちらで焼き栗を焼くテントが立ち並び、開店前から行列ができている菓子店もあって朝から大にぎわいです。スワロー亭ご近所さん「パティスリーロント」にも特製モンブランや栗のエクレア、タルトタタンが並び始めます。先日、自治会の用事で訪ねた時、ちょっと待ってと言われて待っていると揚げたての栗をくださいました。揚げた栗なんて初めていただきましたが、鬼皮ごと揚げて塩を振っただけのアツアツの栗はなんともおいしく、この時ばかりは自治会の役をしていて、ラッキーッと思った次第。
さてさて、話は前後しますが、9月10日、11日は、鳥取からモリテツヤさんをお招きしてワークショップとトークショー(163号参照)を開きました。モリテツヤさんは、湯梨浜町という小さな町で「汽水空港」という本屋を開いており、その生き方や語る言葉が、これからの時代を生きる世代の共感を得ている人。初めて訪れた長野で、いろいろと気づきを得られたようで、小布施滞在記をnoteに書いておられます。ご興味のある方はぜひお読みください。(note「長野小布施町滞在記」はこちら)
で、「でれろん暮らし」的にはここからが本題。小布施に到着されたモリさん、まずはスワロー亭を訪ねてくださり、同業者らしい目線で本棚を見ておられたのですが、どうも今一つ熱が入らないご様子。ああ、うちの選書はモリさんにはあまりヒットしなかったのかなと思っていたら、「あのー、ひょうたん楽器を見せてもらえませんか」とおっしゃるではありませんか。いや、それはもう喜んで、と、いつもの調子でアレコレ出してきては鳴らし、説明してはまた鳴らし、とショータイムが始まったのでした。ついでに菜園で栽培中のひょうたんも見てもらい、栽培についてもひと通り説明させていただきました。
noteによれば、「今回の目的は講演会とトークへの出演がメインだけど、裏テーマにはひょうたんを売ってもらうことと種を分けてもらうことがあった」とのこと。ひょうたんがそんなに優先順位の高い目的だったとは! 来春にはモリさんが管理する広大な畑「汽水空港第2ターミナル」でひょうたんが栽培されるのは間違いなさそうです。加えて、5月に我々が鳥取に伺った時の宿、はわい温泉「水郷」は「しあわせひょうたんの宿」(150号参照)。このあたりにはすでにひょうたんが広まる素地ができているではありませんか! 湯梨浜町は、湯(温泉)、梨(ナシ)、浜(東郷池)ということですが、これからは、湯梨浜瓢町になるかもしれません(!?)。
そして、鳥取が新たなひょうたんの聖地になるために、大阪のヒョータニストの皆様のご協力が必要なのです。今年のタネを、鳥取に送っていただきたいのです。皆さま、よろしくお願いいたします! でれろん!!
(1069日目∞ 10月2日)
- 奥田亮 ∞ 1958年大阪生まれ。中学生の頃ビートルズ経由でインド音楽に触れ、民族音楽、即興演奏に開眼。その後会社に勤めながら、いくつのかバンドやユニットに参加して音楽活動を続ける。1993年頃ひょうたんを栽培し楽器を作って演奏を始め、1997年「ひょうたんオーケストラプロジェクト」結成、断続的に活動。2009年金沢21世紀美術館「愛についての100の物語」展に「栽培から始める音楽」出展。2012年長野県小布施町に移住し、デザイン業の傍ら古本屋スワロー亭を営む。2019年還暦記念にCD『とちうで、ちょっと』を自主制作上梓