ニューギニアの男性衣装
by 丸黄うりほ
ひょうたんはかつて人類必須の容器「水入れ」として世界中で使われていたという話を63日目(6月28日)の日記で書きました。中が空洞で、軽くて持ち運びしやすいため、お酒や油やミルクなどの液体を運んだり、貯蔵したり、食料品、香辛料、薬を入れるのにも使われました。また、お茶、コーヒー、タバコなどの嗜好品入れとしても、食器や調理器具としても世界中に使用例があるそうです。
変わったところでは、マダガスカルでは鳥かご、中国ではコオロギを飼うかごとしても大切にされてきたのだとか。とにかく、生活のさまざまな道具類の収納にひょうたんは使われてきました。土器や金属器、紙や布やプラスチックが発達するまでは、ひょうたんは「容れ物の王者」だったわけです。
2015年に東京・上野の「国立科学博物館」で開催された「世界のヒョウタン展—人類の原器」では、人類が生活の中で使ってきたひょうたんが数多く展示されていました。いろいろな容れ物、そして楽器。ひょうたんが楽器の原点であるということは、また日を改めてじっくり語りたいと思います。
その一画を占めていた展示に、ニューギニアの男性用衣装がありました。一般にペニスケースと呼ばれていますが、これは和製英語で、英語では正しくはペニスシースというそうです。
太いもの、細いもの、曲がったもの。先端を切り落としたものや、切り落としていないもの。糸を巻きつけたもの、鳥の羽などで飾ったもの。いろいろなデザインがありました。
部族によってそれぞれ違いがあり、細くて長いひょうたんを好む部族や、太くてまっすぐなひょうたんを好む部族などがいるそうです。衣装なので流行もあるらしく、男性たちは自分の好みのパンツ、いや、ひょうたんに相当なこだわりがあるらしい。また、夜用と昼用を使い分けたりもするそうです。なかには「少年用」と紹介されているものや、なんと人生を全うした後につけるものまでありました……。
この展示をみて、私は改めて、ひょうたんの使い途は無限大だなぁという思いを強くしたのでした。