敵ながらあっぱれ!ウリハムシの満月

by 丸黄うりほ 

①フェイ・ターンさんは最初にできた千成ひょうたんを収穫

②名前は「はじめちゃん」。水浸けも開始しました

③栽培していた日付も入れて、タネを採取

④「えせUFO」の実は9月に入ってからも順調に生まれています

⑤千成ひょうたんに、地図のような模様をつけたのは……

⑥こいつが犯人だ!ウリキンウワバ

⑦こいつらもひょうたんの敵、ウリハムシ!

⑧「ウリハムシが作った満月」……敵ながら、う、美しい! 

東大阪市・瓢箪山のヒョータニスト、フェイ・ターンさんは、9月1日に千成ひょうたんの実を1個だけ収穫しました。6月15日に今年初めて咲いた花から生まれた「はじめちゃん」です(写真①)。収穫した「はじめちゃん」はさっそく穴をあけてタネを採り、水浸けにしました。一度にまとめて収穫せず、ひとつずつ収穫していくとこんなふうに細工したペットボトルでキッチンなんかに置いといても水浸けにできるし、どの実から採取したかはっきりわかって、いいアイデアですね(写真②③)。

早い時期にできた実の収穫と並行して、後成りの実も続々生まれているようです。写真④は「えせUFO」の実。まったくUFOの実らしくなく、ハイブリッドひょうたんならではの不思議な形をしていますが……。「えせUFO」は去年も9月以降、遅めの時期のほうが元気だったそうで、これからも楽しみが続きそうですね。

反面、お盆以降は虫害も目立ってきたそうです。写真⑤の千成ひょうたんにできた地図みたいな模様は、ウリキンウワバがつけたもの。その正体は……こいつです!(写真⑥)

ウリキンウワバは半透明のシャクトリムシで、葉を食い荒らし、食べた葉と同じ色に擬態して、だいたい葉の裏側にいます。小さいうちは針で開けたような穴をいっぱい開けて葉をレースみたいにするのですが、この写真くらい大きくなっていると食べ方も厚かましく大胆です。

私はこいつを見つけたらすぐさまティッシュなどでつまんで捨てていますが、フェイさんは「結構可愛い」などとおっしゃっています。あかんあかん!葉だけでなく花も実もかじるひょうたんの敵でありますよ!

ひょうたんの葉をかじる悪者は他にもいます。写真⑦の茶色い甲虫はウリハムシ。ウリ科植物の大敵です。虫嫌いの人には申し訳ないですが、2匹並んでいる写真がとても珍しいのでアップさせていただきますね。

ウリハムシは、葉をまるーく食うのが特徴です。写真⑧は満月の夜、「ウリハムシが作った満月」というコメントを添えてフェイさんがフェイスブックに投稿されていた1枚。ひょうたんにとって憎い憎い敵でありますが、「敵ながらあっぱれ!」と呟かずにはいられないみごとな円形です。月とウリハムシの食い跡をこんなふうに撮影するフェイさんのセンスにも感動してしまいました。

この虫のこともフェイさんは「だんだん可愛くなってきた」などとおっしゃっていますが、私にはとても考えられません!私はこいつを見つけると、すぐに空のペットボトルのふたをとり、口部をそっと近づけます。危険を感じたウリハムシが動いてペットボトルに勝手に飛び込んでくれますので、フタをしめれば手を汚さずに捕獲完了です。

そうそう。フェイさんはウリキンウワバとウリハムシの歌も作られたそうです。かくいう私も、何度もウリキンウワバ、ウリハムシ、ウリキンウワバ、ウリハムシと唱えているうちに、こいつらの名前が七五調で大変語感が良いことに気づいてしまいました。こちらもひょうたんの敵の名を連呼する新曲が生まれてしまいそうです……。嫌なのに……!

(1053日目∞ 9月7日)