あれっ?予想外のことが起こるひょうたん栽培
by 丸黄うりほ
あれっ?どういうこと?
ひょうたん栽培をしていると、そんな気持ちになることがしばしばあります。ひょうたんは人間の予想をどんどん裏切って、独自の道を行きます。きょうはヒョータニストさんたちが経験した「あれっ?」を集めてみました。
まずは、7月19日の「ひょうたん日記」に登場した、東大阪市瓢箪山のかよさんの「あれっ?」です。
うどんこ病にかかった千成ひょうたんの葉を整理しようとして、誤って実のついた蔓を切ってしまったかよさん。切り離してしまった蔓をどうするか?
私は風通しのいいところなどに蔓を吊るして乾燥させれば実は助かるのではないかと思ったのですが、かよさんが選んだのはメネデール液に蔓をつけ、いわば「切り花」の状態でもたせるという方法でした。
写真①が、その千成の蔓です。左に写っているビンに入っているのがメネデール液。もともと蔓には3個の実がついていたそうですが、1個はしぼんでしまいました。しかし、残りの2個はご覧の通り、しぼまず生きています!
千成の実が完熟するためには最低50日必要だといわれています。この千成が授粉したのは6月20日だそうですから、あと15日ほどこの状態でもってくれたら……!ひょうたんの生命力に期待することにいたしましょう。
続いて、写真②③④をご覧ください。福岡市の中野由紀昌さんの千成ひょうたんです。「あれっ?」早くも収穫?
中野さんの千成ひょうたんについては、7月11日の「ひょうたん日記」で、実がなったことを報告していました。その後も順調にしているかなと思っていたら、だんだんと蔓が弱ってきて、先週末ついに枯れてしまったのだとか……。
ということで、合計11個の実を収穫しました。②が昨年我が家で育った「ネルウァ」のタネからできた3個、③がサカタのタネからできた8個です。とてもかっこよく撮影してもらっていて、まるでアイドルが踊っているみたいですね!
しかし、気になるのはやはり日数不足です。これらの実の授粉は6月中旬だったそうなので、完熟するのは8月中旬。まだ青いうちに収穫してしまうと皮が薄いために、そのまま置いておくと腐りますし、水漬け処理をすると破れたり途中で崩壊してしまう可能性があります。もしかしたら、酵素の「ひょうたんごっこ」を使って中身だけ溶かせば、外側は残せるかもしれません。せっかくかっこいい実がなったので、うまくガワが残せるといいな……。
中野さん宅の「カラビンカひょうたん」のほうは、写真⑤のようなツボ型の実がいい感じに育っています。こちらは完熟まで元気に栽培継続できますように!
さて、最後は小野市のおーさきさんのお庭から「あれっ?」をお届けしましょう。6月30日の「ひょうたん日記」で開花宣言したおーさきさん宅では、その後どんどん実ができました。写真⑥は一寸豆ひょうたん。写真⑦はおーさきさんが自家採種した千成ひょうたん。そして、写真⑧は東大阪市瓢箪山のフェイ・ターンさんからもらったタネから育った千成ひょうたんです。緑色をした蔓と葉、ぶらりと下がる薄い緑色をした小さな実たちが、とても涼しげでいいですね。
そんななかで、ぽつんと一つだけ。まわりと全然違う色、形をした実ができました(写真⑨)。
「あれっ?これはいったい?」
おーさきさんが、この実の写真をフェイスブックにアップしたところ、フェイ・ターンさんが「去年の波平に似てます!」とコメント。それで事実がすっかり判明しました。
フェイ・ターンさんからもらった千成のタネ。そこから育った苗3つのうち、少なくともこの実をならした苗はハイブリッドだったということになりそうです……。雌花(お母さん)は千成。では雄花(お父さん)は……。
「波平」は、昨年の「ひょうたん日記」847日目に「謎の実」として登場しています。その特徴的な容姿を見てください。
この風変わりな実は、「波平」の子であろうということで、「サザエさん」と名付けられました。
(1028日目∞ 7月27日)