心配と、期待と、喜びと。

by 丸黄うりほ

①大阪市のベランダで育つ、杉浦こずえさんの千成「ぶー」

②こちらは愛知県安城市で育つ千成「ふー2世」

③東大阪市・KFさんの千成「お露」

④「お露」の実は、しゅっとしたモデルタイプの美形

⑤吹田市・イハリコさんの千成「四郎」

⑥東大阪市瓢箪山のかよさんの千成

⑦兵庫県淡路島のヒロミさんの千成

⑧イプとUFOのハイブリッドひょうたん

きょうはヒョータニストさん5人から届いた写真を中心に紹介します。ひょうたんと暮らしていると、喜びもあるけど心配事も起こってくる。山あり谷あり。心のなかにいろいろな思いが行き交います……。

まずは写真①②をご覧ください。どちらも杉浦こずえさんの千成ひょうたんで、①は大阪市のマンションベランダのプランターで育つ「ぶー」。そして②は、愛知県安城市のご実家のお庭で育つ「ふー2世」です。もう一株、「うー2世」も一緒にお庭に植えてもらったのですが、こちらはまたしてもヨトウムシに食われてしまいました。

またしても、と書いたのは、最初に植えた「ふー」と「うー」もヨトウムシの被害にあったからです。スペアとして定植した「うー2世」はまたやられたけど、「ふー2世」は生き延び、花も付きだしました。

大阪の「ぶー」のほうは、できた実の数は少ないそうですが、1個のサイズが大きい。写真①の左、茶色のひょうたんは去年の千成の大きめの実。比べると「ぶー」の実の大きさがよくわかります。「ぶー」も、「ふー2世」もこの先の瓢生を頑張って生き抜いてほしいものです。

続いて写真③④をご覧ください。こちらは東大阪市のKFさんの千成ひょうたん「お露」です。実がなり始めました。しかも、この実の形を見てください。絵に描いたようなひょうたん型です。上の膨らみと下の膨らみのバランスの良さ、ウエストの曲線、少し長めの口部。この形は、はっきり美形である、モデル体型であると断言していいかと思います。

しかも「お露」は、葉もみずみずしい緑色で大変美しい。蒸し暑い季節には必ずといっていいほど出てくる病気の兆しも一切なく、ほぼ完璧な容姿をしています。ひょうたんの実の形に関しては遺伝的なもので仕方がない面もあるのですが、葉の美しさについてはKFさんの管理の賜物だと思います。この調子で夏を乗り切ってください!

続く写真⑤は、吹田市のイハリコさんの千成ひょうたん「四郎」です。イハリコさんの鉢植えひょうたんについては6月28日の「ひょうたん日記」で詳しく紹介しました。結局、「次郎」は8個、「三郎」は6個の実をつけ、鉢植え栽培としては実の数も含めて大成功です。発泡スチロールの箱で栽培していた「四郎」には10個の実がついたそうです。

イハリコさんの現在の困りごとは、うどんこ病です。この病気は大変ありふれていて、湿気の多い時や、ひょうたんが実をならして疲れた頃などにわっと出現します。うどんこ病はかなりひどくなっても生命にかかわるようなことはめったにないのですが、ほっておくとどんどん広がってしまいます。

軽いうちは、スプレータイプの薬剤をかけて抑えます。私はいろいろ使ってみて「お酢守り」という製品が最もよく効くと実感しています。葉が真っ白になるほどひどくなった場合は、その葉を切り取ってしまいます。

葉をたくさん切った後に油粕などのチッソを含む肥料とメネデールを与えると、また新しい脇芽や緑の葉が出てきます。イハリコさん、ぜひ参考にしてみてくださいね。

続いての写真⑥は、東大阪市瓢箪山のかよさんの千成ひょうたんです。かよさんは3苗をそれぞれ鉢植えにして、合計15個の実がついたそう。どの苗に何個ついたのかはわからないのですが、平均5個で、これまた大成功ですね。ただ、先日うどんこ病にかかった葉を整理するときに、誤ってひょうたんのついた蔓を切ってしまったのだとか。……これはショックですよね。

千成ひょうたんの実は完熟するのに受粉後約50日〜60日かかりますので、それまでは本当は蔓につけておいたほうがいいのです。しかし、切ってしまった場合は受粉日数を逆算して数えてみてください。もし、受粉したばかりだったら残念ですがその実は助からない可能性が高い。しかし、まあまあ日がたっているようでしたら、蔓ごと風通しのいいところに吊るして乾燥させると、腐らずうまくいく場合もあるようです。

また、蔓のほうはメネデール液につけておくと水栽培のような状態になり、切った口から根が出てきます。これについてはヤマミーさんが過去に実験し、挿し木まで成功させてらっしゃいますので参考にしてみてくださいね。(参考「ひょうたん日記」864日目)

最後に、写真⑦⑧をご覧ください。こちらは淡路島のヒロミさんの栽培のようすです。⑦の千成ひょうたんたちは、どの鉢もかなりコンパクトサイズですね。右の鉢植えに「矮性」と書き入れてらっしゃいますが、この写真を見る限り右だけではなくすべての鉢が矮性なのではないかという気もします。それでも、ちゃんと実ができているのがいいですね。

ヒロミさんによると、千成たちには今、ウリキンウワバが発生しているそうです。ウリキンウワバは透明な緑色をしたシャクトリムシで、ふだんは葉脈と一体化して葉の裏に隠れており、小さいわりに旺盛な食欲で葉をレースのようにしてしまいます。葉だけでなく実もかじりますので、つるつるの美瓢に育てたいときは農薬をまくなどして徹底した駆除が必要です。しかし、ウリキンのかじり跡は地図のような模様になり、私などは面白いなとも感じます。そこは育て主さんの好み次第かもしれません。

今日紹介した①から⑦までのひょうたんはすべて千成でしたが⑧はイプとUFOの交雑種です。7月13日の「ひょうたん日記」では、東大阪市のフェイ・ターンさんの畑で、イプとUFOの交雑種が一つの苗にまったく違う形の実をつけたことを書きましたが、それはもともとヒロミさんのタネでした。ハイブリッドひょうたんの原産地(?)であるこちらでは、まだ花が咲いていないようです。

これからぐんぐん大きくなって、やがて花も咲くことでしょう。そして、その実はいったいどんな形になるのでしょうか?期待でワクワクします!

(1022日目∞ 7月19日)