ひょうたんな古墳を探し求めて①巣山古墳
by 丸黄うりほ
奈良盆地の西部にある馬見丘陵には、4世紀、5世紀に造られた大型の古墳がたくさんあります。南北7キロ、東西3キロの丘陵地帯になんと250もの古墳があるそうで、馬見古墳群と呼ばれています。
そのなかでも最大級の古墳が、北葛城郡広陵町にある巣山古墳です。
2年ほど前になるでしょうか、「巣山古墳には出島状の遺構があり、そこにひょうたん型をした石組みがある」ということを、「花形文化通信」編集長の塚村さんに教えてもらったのは……。
写真①が、教えてもらったときにもらった広陵町発行のパンフレットです。表紙の写真をよーく見ると、確かに!ひょうたん型をした石組みが写っています。(写真②)
これはいつか見に行きたいなぁと思いつつ、ずっとのびのびになっていたのですが、塚村編集長と、あるどろばんでぃ氏(「ひょうたん日記」440日目〜443日目など)の協力を得て、ついに行くことができました。
近鉄五位堂駅で塚村さんの車に乗せてもらい、10分ほど走って到着したのは馬見丘陵公園です。きれいに整備されて、予想以上に広々としていました。案内板を見ると、この公園の南エリア内だけで5つの古墳があるらしい。(写真③④)
巣山古墳はどこかな?と振り向くと、東の方向にこんもりとした森が見えました(写真⑤)。そう、まさしくそれが巣山古墳でした!
古墳の北西あたりに「特別史跡 巣山古墳」と書かれた説明ボードがありました(写真⑥)。それには、だいたいこのように書かれていました。
「巣山古墳は4世紀終わり頃に築かれた前方後円墳で、前方部には方形の壇、後円部には竪穴式石室がある。前方部西側の墳丘の中央付近から周濠に張り出した出島状の遺構が見つかっており、そこからは水鳥形の埴輪なども出土している。出島状遺構の西側には、円形の石列が2つ連結した「ひょうたん島」状の石組みが確認されている。これらの遺構は非常に珍しく、大型古墳の祭祀を考える上で重要な資料である」
写真⑦は、説明文の一部をクローズアップ撮影したものです。「ひょうたん島」という文字がはっきりと読み取れますよね。
出島状遺構は巣山古墳の北西にあり、その西に「ひょうたん島」があること。また、写真①のパンフレットには、「ひょうたん島」が、直径4メートルと3メートルのつながった円形……つまり、ひょうたん型であるということも書かれていました。結構大きいものだということがわかります。古墳の北西というと、今読んでいる説明ボードが立っている、この目の前あたり?
しかし、目の前には草木がしげっていて、堀のようすもよくわからず、パンフレットの表紙のような石の遺構は見当たりませんでした。
そこで、私たちは古墳の周りをぐるっとまわってみました。ところが、遺構らしきものは出てきません。やはり北西の、堀の水の下に出島状遺構と「ひょうたん島」状の石組みがあるのだろうという結論に達しました。(写真⑧)
うーん、残念です。せっかくここまできたのに「ひょうたん島」の実物を見ることはできませんでした。
(1014日目∞ 7月6日)
*明日に続きます