お見事!イハリコさんのひょうたん鉢植え
by 丸黄うりほ
ひょうたんは普通は畑で栽培するものとされています。畑がなくプランターで栽培する場合でも、できるだけ大きいサイズを用意して、そこにひと苗だけ植えるのが一般的な育て方です。ひょうたんは急激に大きくなる植物で、実も大きいですから、土もたっぷり必要なんですね。
千成ひょうたんのような実の小さい品種については鉢植え栽培も可能です。ただし、鉢植えでコンパクトに育てるのは、大きく育てるのとは違うテクニックが必要。名人といわれるほどになったら、私もいつか挑戦してみたいなぁ……などと思っていたのですが。
ところが、なんと。今年初めてひょうたん栽培に挑戦された吹田市のヒョータニスト、イハリコさんが、みごとな鉢植えを作ってしまわれました!素晴らしい!きょうはその成功ポイントを見ていきたいと思います。
まず写真①をご覧ください。こちらは5月に定植したばかりの千成ひょうたん「次郎」です。植木鉢は10号ほどのサイズの丸いもの。支柱を4本立てて、その上に竹を組んで棚を作っています。土は〈タキイの培養土〉。イハリコさんは「次郎」のほかに同じ植え方で「三郎」を、発泡スチロールの箱を利用して「四郎」を植えました。「四郎」だけは土を多くし、伸びる場所も庭のフェンスを利用して広くしてやりました。
写真②は、花が咲き始めた「次郎」です。ひょうたんは最初に出てくる親蔓と、次に出てくる子蔓の摘心を行い、その次に出てくる孫蔓についた花を大切に育てます。よい形の実は孫蔓につくのです。
コンパクトに育て、孫蔓にたくさん花を咲かせるには二つのポイントがあります。一つは早めに摘心を行うこと。親蔓は本葉5枚、子蔓も5枚で摘心し、脇芽は全部カットしてしまいます。通常の栽培では親蔓は棚に上がるまで(本葉10枚以上)、子蔓も5枚以上伸ばすことが多いのと比べると、かなり早いのがわかりますよね。ひょうたんはすぐ大きくなりますので、ちょっと目を離しているとタイミングを逃してしまいます。イハリコさんは蔓をよく観察して、適切な時期に摘心をされたのだと思います。
そして、もう一つは土の栄養バランスです。我が家のひょうたんは毎年、蔓がどんどん育つわりに花が遅い、いわゆる蔓ボケ気味。伸ばす場所が広い場合はそれでもいいのですが、コンパクトにしたい場合は早く花をつけさせなければなりません。今回、イハリコさんに「元肥は何を使いましたか?」ときいてみると、なんと「元肥なし」との答え!
イハリコさんが定植に使った土は、我が家と同じ〈タキイの培養土〉。とても品質のよい、いわゆるブランド土です。ブランド土はあらかじめ肥料が調合されていることが多く、そのバランスが完璧だったということですね。私は定植時に油粕を足すので、おそらくいつもチッソ過多になっているのでしょう。
あと、植木鉢の形も理想的だと思います。ひょうたんは円形に深く根を伸ばす性質があるらしいです。なので、浅すぎる鉢や、四角い形、横に細長い形のものは効率が悪い。
写真③をご覧ください。これが現在の「次郎」です。可愛い実がぽこぽこと成り、まだまだ花も咲いています。
写真④は、兄弟苗の「三郎」です。ざっとみたところ、5つは実っています。鉢植えだとそれほどたくさんの実はつけられないと思いますから、5つ実れば大成功だと思います。写真⑤も「三郎」の実。しゅっとスマートで、形も良いですね!
イハリコさんによると「三郎」は、最近葉にうどんこ病が出てきているそうですが、病気の葉は早めにカットしてしまうのがよいと思います。黄色くなった葉もカットして、限られた栄養分を花と実にまわしてやってください。
写真⑥⑦は、発泡スチロール箱に定植してもらった「四郎」です。土が多い分、やはり「四郎」がいちばん勢いがあります。葉も大きいし、蔓もたくましいし、まだまだ伸びそう。花も実も、これからさらにいっぱい付くでしょう。最終的に何個実らせてくれるか、楽しみにしています!
(1008日目∞ 6月28日)