小林野々子「雨露の森」展(Gallery mazekoze)

by 奥田亮

小林野々子「雨露の森」展(Gallery mazekoze)

小林野々子「雨露の森」展(Gallery mazekoze)より。ひょうたんで作った動物や鳥の小物入れ

小林野々子「雨露の森」展(Gallery mazekoze)より、絵画ほか

ひょうたんのヘタの積み木

先週、根元を虫にかじられて息絶え、新しい苗に植え替えた「えせUFO」は、その後(今のところ)順調に育っています。とはいえ、じつは定植前から葉っぱに茶色い斑点がついていて、何かの病気なのかもしれなかったのですが、定植の翌朝に見ると、なんと斑点の部分がきれいに穴になっているではありませんか。しかも一番順調な「大寿」の一番下の葉っぱにも茶色の斑点がついていて、その部分だけ穴があいています。うぬぬ、これはどうしたことでしょう。近寄ってよく見てみると、穴を開けた犯人はダンゴムシでした。むしゃむしゃおいしそうに食べています。さらに観察すると、土に落ちた葉っぱも食べています。こいつが犯人か!……、いや、でもダンゴムシは悪くなったところや千切れてしまった葉っぱしか食べていません。上の方の健康な葉っぱは全く無傷。そうか、こいつは屍体処理班なんだ。悪くなったところだけきれいに食べてくれているようなのです。ということで、今はきれいな葉っぱだけが残っているので、冒頭「順調」とお伝えしたのでした。

さて、本屋スワロー亭の定休日に長野市の善光寺近くにあるGallery mazekoze に行きました。mazekozeさんは元々東京国立でギャラリーを開いていた小池つね子さんと夫で造形作家の小池雅久さんが開いている、古本や雑貨の販売、ギャラリーなどをまぜこぜに展開する素敵なスペース。スワロー亭を始めた頃に知り合い、お店のあり方のお手本としてリスペクトさせていただいているのです。今回訪れたのは、小林野々子さんという作家の作品を観に行くためでした。

小林野々子さんとは面識があるわけではなく、mazekozeさんからの案内で初めて知った方。「雨露の森」と題された展覧会には、きのこや菌、水の精霊を連想させるキュートなキャラクターがミクロのようなマクロのような深い森を彷徨う幻想的な絵と、なんと!ひょうたんで作った不思議な動物や鳥たちの小物入れが展示されていました。絵ももちろん素敵だったのですが、どうしても興味はひょうたんの方に行ってしまいますよね。

ひょうたんを動物に見立てたり、目を入れたりしたオブジェは、いろいろな方が作っているのを見ても正直あまりピンと来なかったのですが、この小林さんの作る動物や鳥はとても素敵。色使いや質感もしっくりとひょうたんになじんでいて嫌味がありません。じっと観ていると何やらじんわりと伝わってくるものがあります。思わず一つ連れて帰りたい衝動に駆られるのをグッと堪えました。

残念ながら作家の小林さんとはお会いすることはできませんでしたが、店主の小池つね子さんによれば、ひょうたんは自家栽培だとか。芳名帳の台の上には、作品を作った時に出たと思われるひょうたんのヘタが置かれていて、積木のように積んで遊んでくださいと書いてあったりして、それを見ただけで、ひょうたん愛を感じてしまいました。展覧会は7月1日まで開催しています。お近くの方はぜひお出かけください。いやー、いいもの見せていただきました、でれろん。

(1001日目∞ 6月19日)