祝♡1000日! 無病息災を願う「犬子ひょうたん」
by 丸黄うりほ
5月、一緒に「関西ひょうたん巡り」をした福岡市のヒョータニスト、「Edit Office 瓢箪座」の中野由紀昌さんからこんなメールが届きました。
「さきほど、うりほさん宛にゆうパックをお送りしました。熊本県山鹿市にある八坂神社(大宮神社内)の祇園祭で配布されるお守り「犬子(いんご)ひょうたん」です。昨日5年ぶりに行ってきたので、うりほさんの分もいただいてきました」
翌日、私のもとに届いたのは、黄色いひょうたんを大切そうに抱えている赤い子犬のお守りでした。(写真①)
「犬子ひょうたん」。ポーズといい、表情といい、なんという可愛いお守りなのでしょう!
「かなりフラジャイルなお守りです」と、中野さんの但し書きがあり、「犬子ひょうたん」は梱包材で何重にも包まれ、木箱に入れて送られてきました。というのも、このお守りは、米粉でできており、一つ一つ手作りされているそうなのです。私は、壊してしまわないようにそーっとお守りを手にとって、自宅の高いところに祀らせていただきました。
中野さんがお参りされた八坂神社は、熊本県山鹿市の大宮神社の境内にあり、毎年6月15日に祇園祭が行われ、6月10日から15日まで「犬子ひょうたん」が授与されるのだそうです。八坂神社の祇園祭というと関西では7月ですが、こちらでは6月。山鹿市に夏の訪れを告げるお祭りなのだとか。
メールに添付してくださった写真を見ると、林に囲まれた境内には「ぎおん祭」の鮮やかなノボリが立てられ、神社脇には「犬子ひょうたん」の石像まで建てられています。中野さんによると、この石像は以前行ったときにはなかったそうで、「令和2年建立」と記されていたそうです。令和2年といえば、おそらくコロナ禍。「犬子ひょうたん」のご利益は、「無病息災」「疫病消除」であると立て看板にもはっきりと書かれています。(写真②③④)
大宮神社や山鹿市観光のウェブサイトには、京都の八坂神社にはない「犬子ひょうたん」の由来が書かれていました。
それは江戸時代中期のこと。この辺りに疫病が流行したため、京都の八坂神社を遷宮することになった。神様をお遷ししている道中で子犬があらわれてついてきたが、途中で疲れたようなので、ひょうたんに入れたお神酒を飲ませると元気回復した。一行は無事に山鹿にたどり着いて神事を終えたが、子犬は突然姿を消してしまった。疫病はおさまり、人々は、あの子犬は神の使いであったのだろうと思った……。それ以来、この神社の縁起物として「犬子ひょうたん」が作られるようになったそうです。
米粉で作られているため壊れやすいのですが、これには「厄落とし」の意味があり、割れてもそのままお祀りすればいいとのこと。また、いろんな色の犬子があるようですが、色には特別な意味はないのだとか。中野さんが撮ってこられた写真を見ると色とりどり!手作りだから表情も一つひとつ微妙に違っています。(写真⑤)
中野さん、ありがとうございます!そして、偶然ですがこの「ひょうたん日記」はきょうでちょうど1000日目を迎えました。
うれしいことが重なりました。長い間読んでくださっている読者のみなさまにも心から感謝いたします。どうぞ、みなさまにも「無病息災」のご利益が届きますように!
(1000日目∞ 6月16日)
※次回1001日目は奥田亮「でれろん暮らし」6月19日(月)にアップ。
1002日目は丸黄うりほ「ひょうたん日記」、6月20日(火)にアップします。