「末成り」ひょうたんは面白い!

by 丸黄うりほ

▲よーく見てください。写真の2枚の葉。

▲よーく見てください。写真の2枚の葉。

 

きのうの日記で、私は「第2の花ピーク」を目指すと書きました。実際に、毎年我が家のひょうたんは6月か7月に1回目の花ピークがきて、そのときに受粉した実の成長が落ち着いてくる8月ごろに第2の花ピークがくることが多いです。さらに、9月末くらいに3度目の花ピークがくることもあります。

しかし、ひょうたんの栽培本や園芸本には、あまりそういった花のことは書かれていません。もし書いてあったとしても、そういう花や実は「後成り」とか「末成り」とか呼ばれ、本命の実に栄養をまわすために「摘果」しましょうと書いてあります。「摘果」です!つまり、大きくなる前に摘んで捨ててしまいましょうということです。

みなさんは、「うらなり」という言葉を知っていますよね。夏目漱石の『坊ちゃん』に、そういうあだ名の登場人物がいますが、これを漢字で書くと「末成り」です。この言葉を辞書などで調べると、たいていは「ひょうたんの先のほうに成る実。形が悪く皮が薄い」と書いてあります。しかし、子蔓を伸ばして摘心した先端に出てくる孫蔓の実、つまり先端の実は、ほんとうはプロポーションの完璧な美瓢が多い。

ですから、形が悪くて皮の薄い「末成り」の実というのは、先端の実ではなくて、もともとは時期をはずし遅れて成った実のことを指していたのではないかと思います。というのは、「後成り」「末成り」の実は完全に熟する前に本体の蔓のほうが老化して枯れてしまうことが多く、その結果、皮が薄いままであることが多いのです。

というわけで、完全無欠の美ひょうたんの収穫を目指す人にとっては、時期遅れで成ったひょうたんは捨てるべき、駄ひょうたんということになるでしょう。しかし、私はこういった駄ひょうたんにものすごい愛を感じるタイプなので、1回目の花ピーク以上に2回目のピークを楽しみにしているのです。

第2の花ピークの前に、まず第2の蔓ピークがあるわけで、いまがその時期です。花や実だけでなく、蔓や葉の形も変わったのが多く出てきます。きょうアップした写真は、葉ですが、かなり変わっています。よくみてください、葉から葉が出ています!

こういうのにびっくりする楽しみこそ「末成り」の楽しみです。