ひょうたんは内側まで美しい!

by 丸黄うりほ

▲ひょうたんを切ると、中はこんなふうになっています。

 

ひょうたんの内側がどうなっているのか!きょうはその話をしますね。

ひょうたんは食べることができません。また、ひょうたんはもともと水入れや、いろいろなものを入れる容器として使われてきましたが、それもプラスチックが普及した今となっては用済みです。では、ひょうたんの現在の活躍のステージは?というと、主に飾りもの、美術工芸品として、だと思います。最後に残されたのは、その姿の美しさ、面白さだったというわけです。

くびれのある不思議な形をした実。その皮を磨いたり、表面に塗料を塗ったり、飾りひもを結んだりして、さらに美しく、高級感の漂う立派な置物にする。それはとても素敵なことです。ですが、私は、それだけではひょうたんの外側しか生かされていないなあ、もったいないなあと思うのです。

ひょうたんの内側がどうなっているのか。それをしっかりと見たことがある人は少ないのではないでしょうか。

この写真のひょうたんは、楽器を作るために切ったものです(詳細は85日目、7月31日の日記をお読みください)。 その時、その場にいた人から「わあ、きれいだなぁ」と声が上がりました。

そうなんです、ひょうたんは内側もものすごく美しいのです。まるで繊細なレースのような模様。じっと見ていると、ためいきがでます。

皮の表面は硬いですが、なかは少し柔らかめでクッション質です。そして、デコボコしています。このヒダが音をまろやかに響かせるため、ひょうたんは楽器の素材としても優れているのです。ひょうたんスピーカーも、この素材の特徴を利用して作られています。

ひょうたんは、時期が来て収穫したら、穴をあけて水に浸けておきます。しばらくすると中身が腐ってドロドロに溶けますので、タネと一緒に穴から振り出してしまいます(これが大変臭いのですが)。

中身を完全に出してしまうと、この硬い皮だけが残ります。ひょうたんの内側の美しい模様は、腐って形がなくなってしまった中身が残した、生命の痕跡なのです。

 

※「ひょうたん日記」はお盆休みをいただきます。次回93日目は8月16日(金)にアップします。