ひょうたんからコメ?
by 丸黄うりほ
ついにこの日記も88日目。しかも8月5日ということで8が3つ並びました!! ひょうたんは1個でも縁起物ですが、3つ並ぶとさらに縁起がよい。三拍子つまり三瓢子そろってよいことがあるというわけです。これを読んでくださっているあなたにも、きっときょうは3つの良いことが起こるでしょう!!
ひょうたんが6つ並ぶと六瓢(無病)息災、お寺や神社などでもお守りとしてよく見かけますね。このように、ひょうたんにまつわることわざや言い伝えはほとんどがポジティヴなのですが、なかには変なのもあります。
たぶん、現代日本でいちばん有名なひょうたんことわざは「ひょうたんから駒」だと思いますが、これはとても変です。この場合の駒というのは「きょうのコマまわし」で回っているコマではなくて馬のこと。たとえ大瓢エース(重さ100キロになる大型ひょうたん)でも、馬を出し入れするのは無理ですね。というわけで、「ひょうたんから駒」は、「ありえないこと、予想もしていないことが起こる」とか「冗談や間違いで言ったことが本当に起こる」という意味で使われます。
それにしても、なぜこんな変なことわざが生まれたのでしょうか?
どうやら「ひょうたんから駒」の語源にはふたつの説があるようです。
ひとつは、中国の仙人・張果にまつわる伝説です。張果は仙人の中でも特にとんでもないエピソード満載の人で、白いロバに乗って各地を巡り歩き、休むときはそのロバを腰につるしたひょうたんの中に入れていたというのです。そして、また出かけるときは、ひょうたんの水を噴いてロバを出したそうです。その伝説が日本に伝わった。うーん、シュールです。ロバが馬に変わってはいますが、この話から来たというなら、わりとそのまんま。
もうひとつは、宇治拾遺物語の「腰折雀」からという説です。「腰折雀」は「舌切り雀」のもとになったお話で、優しいおばあさんが傷ついたスズメを助けます。そのスズメが元気になってやってきて、くわえてきた種子をぽとりと落とす。そこから蔓がのびてきて、立派なひょうたんが実る。そのひょうたんからはじゃんじゃんコメが出てきて、おばあさんは大喜び。ひょうたんからコメ、これが転じてコマになった……という説。
リアリストとして面白くないことを言いますと、ひょうたんからはロバも出ませんし、コメも出ません。収穫したひょうたんは水につけて、中身を腐らせてから取り出し、空っぽにするのですが、出てくるのは大変臭いひょうたん汁だけです。
とはいえ。この「ひょうたん日記」は、花文に「きょうのコマまわし」があって、そこから「ひょうたんから駒」的にスタートさせていただいたのです。いや、正しくは「駒からひょうたん」というべきですね。とにかく、ここまで連載を続けさせていただき、みなさまにご愛読いただきまして88日目。心から感謝いたします。