ひょうたんには毒があります。

by 丸黄うりほ

▲2016年に収穫したひょうたん「オト」の実。うふっ、食べてみますか?

 

「ひょうたんを栽培しています」と人に言うと、いちばんありがちな反応で、いちばんよく聞かれる質問が、「ひょうたんって、食べられるの?」です。おそらく、ひょうたんなどにまったく興味のない人が、ひょうたん狂いのこちらに気をつかって愛想で言ってくれる言葉が「食べられるの?」なのでしょうね。わりとひょうたんはヘチマと混同されがちで、ヘチマのほうは食べられますから、それでひょうたんも食べられると思われるのかもしれません。

ですから、その質問には「残念ながら食べられません」で終わればいいのですが、私はそこに、ついよけいな一言を付け加えてしまいます。「食べられないだけではなく、ひょうたんには毒があります」。すると、その質問をした人はたいていびっくりします。「えっ、毒があるの!」

そうなんです、ひょうたんの実には毒があります。毒の正体はククルビタシンという苦味成分で、食べると非常に苦くてまずいだけでなく、中毒を起こします。秋のブラックな風物詩といえば毒キノコですが、夏のブラックな風物詩はひょうたんです。年に一度は、ひょうたんを間違って食べてしまって中毒を起こしたというニュースを見かけます。

ひょうたんは他のウリ科植物と簡単に交雑しますので、近くでカボチャやキュウリ、ズッキーニなどを育てている人も要注意です。そのようなウリ科の野菜に強い苦味を感じたら、食べるのをあきらめたほうがいいと思います。ただ、ゴーヤ(ニガウリ)の苦味だけは別の成分で、こちらは中毒を起こしません。

ひょうたんのなかには、「食用ひょうたん」として品種改良された小型ひょうたんがあり、おもに漬物として流通しています。こちらには苦味はなく、ウリのような淡白な味わいです。なんといっても形がとても可愛いので、お料理の飾りとしても映えます。

 

※次回59日目は6月24日(月)にアップします。