「アクチン」と「ミオシン」
by 児嶋佐織
こんにちは。テルミン奏者の児嶋佐織です。
ずいぶん前のことですが、知人が「ねりもの全般が食べられない」って言ってまして。
「全般というと?」ときくと、
「一所懸命ねってあるやつがだめ」とのこと。
ソーセージも、ハンバーグも駄目なんだそう。
そのときはいまいちわかりませんでしたが、彼女は要するに、「塩を入れてこねて加熱し変成したたんぱく質」が苦手なんですね。
ハンバーグもだめってのが驚きだったんですが、挽肉をこねてるときに粘りが出てくるの、なるほどそれはねりものと同じ理屈ですね。
お肉の「アクチン」と「ミオシン」というたんぱく質の繊維のよりよりした形状が、塩を入れてこねることでばらばらになって絡みあい、「アクトミオシン」という状態になります。これを加熱するとかまぼこのような弾力が生まれます。肉魚を問わず「塩を入れて一所懸命ねって」あることが弾力を生むのですね。
「アクトミオシン」についてはこちら。(2019.12.12 のデイリーちくわへ)
ちくわやかまぼこを数多く食べていると、ぷるんぷるんの柔らか食感のものから、「これ消しゴムじゃない?」てくらい硬い食感のものまで、その違いに驚かされます。
この「足」(ねりものの弾力のことを足といいます)の違い、どういうふうにして生まれているのかしら?と調べてみますと、もちろん魚の種類によっても変わりますし、擂潰(らいかい=すりつぶす)時の温度によっても、食感に違いが生まれるそう。
臼で潰したものは硬め、サイレントカッター(冷凍のすりみを切断して擂潰する機械)を使ったものは繊維が切断されるので柔らかめ、など、ねりものを作る工程を調べるほどに、さまざまな違いを発見して興味深いです……ってそんなことして喜んでいるのはこじまだけかしら。
ねりものの弾力および成形作業については、こちら個人の技術コンサルタントさんのページが詳しいです。( e-kamaboko.com/「水産練り製品の製造工程」蒲鉾の弾力を強める)
こじまのお肌もこねて弾力が出たらいいのに。の、きょうのちくわ。丸亀のお土産に、といただいたちくわ。普段スーパーで見かけるちくわに比べて、なんだか威厳を感じる佇まい。
きょうはまず右側の、創業1893年の老舗、香川県の仁加屋かまぼこさんの〈ちくわの王〉をいただきます。
歯切れよくしっかり目の食感ですが、身が薄めなのでさくさくいただけます。まるで焼き魚を食べてるよう。これはかなりおいしいです!
銭形ちくわは明日のおやつにします。たのしみ。