自由・平等・友愛の、きょうのちくわ

by 児嶋佐織

こんにちは。テルミン奏者の児嶋佐織です。

フランスはフランシュコンテに、こじまの憧れのいずみお姉さんが住んでいます。
いずみさんは、フランスの知る人ぞ知る……というか、日本でもよく知られたプログレッシブロックミュージシャン、Francis Decampと、SNSを通じて出会い恋に落ちて、2017年にフランスに移住しご結婚されました。なんか漫画みたいな、素敵すぎるストーリー。

いずみさんとは、渡仏直前に1度、そして昨年久々に日本に旅行に来られたときの2度しかお会いしたことがないんですが、Instagramなどで彼女の素敵な手料理を見るのを、とても楽しみにしているんです。
いつものようにお料理の写真を見ていると、グラタンのようにも見えるひと皿に「quenelle lyonnaise(リヨン風クネル)」とキャプション。そして、「ひとことで言うと、はんぺん」とコメント。
フランスのはんぺん……?
俄然興味がわいて、いずみさんに「クネルとか、フランスのねりもの事情について教えてください!」とお願いして、先日メッセンジャーでお話しを伺いました。

いずみさんとフランシス

クネル(quenelle)とは、美食の都として知られるリヨンの郷土料理だそう。パリもリヨンも海がないので、魚といえばニジマスや鯉などの川魚を食べます。
その昔、織物産業で栄えたリヨン。しかし第一次世界大戦を経て、織物産業は衰退。経営者たちに雇われていた家政婦は仕事を失いました。
そこで彼女たちは、生きていくために集まってレストランを始めます。安く手に入る食材でおいしい料理を……と試行錯誤。
リヨンを流れるソーヌ川とローヌ川には、迷惑ともいえるほどたくさん、巨大なブロシェ(brochet=カワカマス)がいます。カワカマスの切り身を練って、つなぎに卵・小麦粉・牛乳・バターを合わせた「パナード」を加えて成形し茹でたものが、クネルです。エクルビス(ザリガニ)のソースを合わせるのが一般的だそう。
今はスーパーで成形済みの焼くだけのクネルが売られていて、家庭で手軽にクネルを味わえます。

中央がクネル。レストランで提供されるクネルはとってもボリューミー(写真提供:いずみさん)

いずみさんが初めてクネルを食べたとき、「なんか懐かしいな……?」と感じたそう。食感はまさにはんぺんなので、「おでんにもいけんじゃね?」とトライしてみたそうなのですが、やはりバターなどが入っているからか、あんまり合わなかったそう。しかし在仏日本人たちの「フランスの食材でなんとかがんばる和食」には、クネルを使った伊達巻なんかもあったりするそうなので、和食にクネル、期待してますよ、いずみさん……!

ちなみに、クックパッドなどのレシピ集には、はんぺんを用いた「なんちゃってクネル」のレシピも数多くあります。こんなの知らなかった……!フランスねりもの事情、次回に続きます!

自由・平等・友愛の、きょうのちくわ。

先日、ライブのお客様に、畑で採れた野菜を差し入れしていただき、初めて〈祝蕾〉という野菜を知りました。これは天ぷらがいいかな……ならちくわと一緒に揚げちゃおう!とうきうき天ぷらパーティ。

残った祝蕾天ぷらとちくわ磯辺揚げを細かく刻んで、チャーハンに。自分で言うのもなんですが、絶品です。
磯辺揚げチャーハン、けっこうどなたにお出ししても高評価ですよ。おすすめ。