ダツは目に刺さる
by 児嶋佐織
こどもの頃から、むこうみずなのにたいへんビビりで、常に見たことないものに対して怯えてくらしています。
最近ずっとこわいものは、ダツです。
なんでも、「ダツは目に刺さる」らしいのです。
目に刺さるって、ものすごく怖くないですか。
刺さったらどうしよう……と、ダツに対して漠然と抱く恐怖……。
あ、ダツというのは、魚です。
鋭利なくちばしの中には、細かく鋭い歯がびっしり。光るものに向かって、すごいスピードで飛んでくるそうです。こんなのがいきなり飛んできて刺さるなんて、恐怖ですよね……!
もちろんこじまは釣りをしたことがないですし、今後する機会も、多分ないかと思いますが。
なんで唐突にダツの話かというと、ダツとトビウオは、なかまなんですね。両方ともダツ目の魚です。
トビウオは、もちろんおいしいあごちくわの原料になる魚。
天使のようなルックスでしかもおいしい、ちくわ民の味方トビウオと、海の当たり屋ダツが親戚だったなんて。愛した人がマフィア一家の息子だったような衝撃をうけています。
トビウオのおいしさについて書かれた文章で面白かったのは、ノルウェーの人類学者トール・ヘイエルダールの『コンチキ号漂流記』の中の一節。
「昼夜別なく、イカダの上の乗組員にぶつかって来るので辟易したが、食べると美味なので怒りを忘れてしまう」というもの。忘れちゃうんだ……なんかほのぼのします。
そんなトビウオ(アゴ)のちくわ、いろんなメーカーさんが作っておられますが、関西で気軽に買えるのは、こちらですかね。
寿隆蒲鉾さんの「のやきちくわ」。ちょっと高級なスーパーで見かけることが多いかも。
歯応えしっかり、噛み締め系のちくわです。ちくわきゅうりにも、煮物にもばっちりの存在感。
こじまのおすすめは、ごぼうや蓮根と胡麻油で炒めたやつ。唐辛子たっぷりふって、いただきます。