切りぬくい 

by 児嶋佐織

こんにちは。テルミン奏者の児嶋佐織です。

前回のデイリーちくわでは、「すり身に塩入れて練ると、たんぱく質があれこれなって粘性が増す」というとこまでお話ししました。あ、「粘性が増す」って書くとかしこそうかな、と思っただけで、前回は「ぷりぷりしてくる」って書いてました。すみません。

あれこれなってできたアクトミオシンは、もともとのアクチンフィラメントやミオシンフィラメントがほどけてからまったものです。もとのお行儀よく層状に並んでいたフィラメントから、ばらばらになって、くっつき方が変わったのですね。そしてさらに練ったすり身を加熱すると、アクトミオシンの「ミオシン部分」が、ほかのミオシン部分の頭やしっぽとからまりあって、網のように繋がっていきます。そしてこの網状になったたんぱく質が、ネリモノの弾力を生み出しているのです。

なるほどー!網で弾力!納得いきますね!

そういやずっと前に、お安いチキンナゲットを試食する機会があって、噛んだ瞬間「これ肉じゃないわ……?味も食感もネリモノだわ??」って思ったことがあったんですけど、もしかしてたぶん「鶏肉の端切れみたいなやつを集めて洗って塩入れて練って揚げた」ものだったんでしょうか。ということは鶏肉のちくわもできる……?ふむ。

そんできょうのちくわ。

前回の続きです……冷蔵庫でじゅうぶん冷やされたあれ、どうなったかしら。

できてました。なんという昭和感。

型からはずして、ゆっくりゆっくり切っていきますよ……切りにくい!!……ものすごく切りにくい!!! 食感重視でゼリーを柔らかめにしたので、すんごい崩れてきます。

きょうのちくわ:ちくわキュイジーヌ

なんとか切り分けて、卵黄と生クリーム、バターで作ったソースを添えて。盛り付けも昭和40年代の『主婦之友』っぽくしてみました。ちくわとじゃがいもとソースのハーモニーに、トマトの酸味がアクセントになっておいしいんですけどね……とにかく、切りにくい。切りぬくいです。

ほんまに作る方おられないとは思うのですが、もし作らはるとしたら、ひとりぶんの小さい入れ物で固めたほうがいいです。こじま学びました。