たけやん……
by 児嶋佐織
こんにちは。テルミン奏者の児嶋佐織です。
旅に出ていました。江戸に。
帰りは雨だったんですが、こんな雨の日に飛行機や新幹線に乗ると、ふと思い出すんです。
たけやんのことを……
たけやん。
それはとても古い自動販売機に、ひっそりと売られている竹ちくわ。
明石海峡大橋がなかった時代、淡路島と神戸港のあいだは、フェリーで行き来していました。
20世紀も終わりに近い1990年代、50分ほどかかる道中、船内で軽食をとるお客さんにちくわは大変人気の商品で、一日1万本も売れていたそう。
24時間運航されるフェリーですが、売店は夜は閉まってしまう。そんな時、途方にくれる旅人の前にあらわれたのが、フェリー内や港に設置された、竹ちくわ『たけやん』の自動販売機でした。
しかし、1998年に橋ができてからは、ちくわをわざわざ自動販売機で買う人も減り、全部で10台あった自販機は、昨年春ごろには、東浦バスターミナルに最後の1台を残すのみになりました。
設置されて20年以上と、食品自販機としてはかなり高齢のたけやん販売機、いったいどうなるのか……と心配していたのですが、現在、淡路島の観光施設「淡路ハイウェイオアシス」に移設されて、『世界に一つだけのちくわの自動販売機』として大事にされているそうです!
とはいえ、たけやん販売機はおじいちゃんですので、現役のうちに会いに行きたいものです。
淡路ハイウェイオアシス 竹ちくわ たけやんはこちら
そんなノスタルジーをやさしく受けとめる、きょうのちくわ。
おあげさんと、卵とじにしました。
雪平鍋に刻んだ薄揚げと熱湯を入れてすこし火にかけたら、いったんお湯だけ捨てます。
斜めに切ったちくわを加えて、お出汁(ストレートタイプのめんつゆとかでOK)を少なめに入れて、また火にかけてお出汁が減ってきたら、やくみと溶き卵を入れて軽く混ぜたらできあがり。
ぬくいご飯にのせて、おどんぶりにしてもおいしいですよ