労働者協同組合ワーカーズコープ・センター事業団
2020年に発動した「環境・気候非常事態宣言」に基づき、事業運営を通じて環境に配慮し、地球環境を良くしていく取り組みを継続しています。


今年もアースデイ東京2025に協力しました

「地球は沸騰している」2023年7月、国連総長の言葉です。その3年半前、ワーカーズコープ・センター事業団が加盟するワーカーズコープ連合会では、2020年1月「環境・気候非常事態宣言」を発し、環境への取り組みに力を入れてきました。

先月開かれた「アースデイ東京2025」では実行委員としてアースデイを運営、参加。今回はその「アースデイ東京2025」の様子と、全国の事業所で実践している取り組みの一部を紹介します。

「アースデイ東京2025」で、今年も起こしたワーカーズコープのアクション!

4月22日の「アースデイ(地球の日)」を記念して、今年も代々木公園(東京都渋谷区)で「アースデイ東京2025(4月19日・20日)」が開催されました。来場者数は2日間で約8万5千人。アースデイ東京の実行員会メンバーでもあるワーカーズコープ連合会は、毎年恒例となった「ワーカーズコープビレッジ」を出展しました。

環境について考えるワークショップやエシカルな生産物の販売、循環型社会の体験など、協同労働で叶える循環型社会やエシカル活動について楽しく学べる場を提供しました。


ワーカーズコープビレッジを運営した仲間たち


「アースデイ東京2025」では、運営に必要な電力も環境に配慮して確保。ガソリン発電機をこれまでの40台から13台に削減して、代替としてBDFを燃料に使用したディーゼル発電機を導入しました。また、ジャクリージャパン社の協力で、同社のポータブル蓄電池とソーラーパネル(日中は太陽光で充電・夜間はBDF発電機で充電)を活用し、出展者がフレキシブルに使用できる環境も実現しました。


会場内でも蓄電池とソーラーパネルをご紹介






このエコ電力はセンター事業団「あぐりーんTOKYO事業所」と連携企業が担当し、発電機へのBDF燃料の提供、ポータブル発電機の管理等を実施。会場内では、あぐりーんTOKYO事業所と自由の森学園(埼玉県飯能市)が連携してBDF燃料の元となる廃食油(てんぷら油)の回収も行い、イベント期間中に450リットルの廃食油が集まりました。この取り組みにより削減できたCO2排出量(軽油と重油換算)は1,183.5kgになります。

将来的に「アースデイ東京」では、全て化石燃料を使わないエコな電力でのイベント開催を目標にしています。


会場内では自由の森学園さんの呼びかけでてんぷら油の回収を実施


バイオディーゼル燃料の紹介ブース

BDF燃料を使用したディーゼル発電機で電力共有

主な出展ブース
- WORKERS Village Hall「着なくなった洋服の回収」
- エシカルな暮らしを楽しみませんか?パレスチナのオリーブオイルを知って応援!買って応援!(センター事業団東京三多摩事業本部、APLA)
- 子どもも大人も全員集合!!野外学童&保育園(センター事業団東京南部事業本部)
- 介護予防相談とリハビリ検査・測定体験/規格外のお花ワークショップとコーヒー販売(センター事業団東京北部事業本部)
- 再エネ&SDGs体験ブース(センター事業団あぐりーんTOKYO)

主なミニステージ
- ゲストトーク:「ワーカーズって気候変動問題も解決できる?(ゼロエミッションを実現する会)」/「yae(半農半歌手)×ワーカーズコープ連合会」
- 人形劇:人形劇団「にゃん9House」・読み聞かせ:「バナナとらんとゴン」読み聞かせと、パレスチナのお話し
- トークセッション:IYC協同組合年企画「協同で未来をつくる-気候危機と私たちの選択」(ゼロエミッションを実現する会 × NO YOUTH NO JAPAN × Climate Live Japan × ワーカーズ・コレクティブネットワークジャパン × ワーカーズコープ連合会)

(参考)出店ブース・ミニステージの内容は「ワーカーズコープビレッジ情報まとめサイト」をご覧ください。
https://lit.link/actionforearth

(参考)アースデイ東京ニュース 「未来のエネルギーを“今”選ぶ」アースデイ東京2025は再生可能エネルギーへの転換を全力で応援します!
https://www.earthday-tokyo.org/2025/04/14/15046

ワーカーズコープの「環境・気候非常事態宣言」

ワーカーズコープ・センター事業団は協同労働という働き方を実践しています。協同労働は、話し合い、分かち合い、助け合いながら人と地域に役立つ仕事に取り組む働き方。そんな働き方や活動が環境に負荷をかけては本末転倒です。

そこで2020年1月「環境・気候非常事態宣言」を発し、事業や社会のあり方、働き方などについて下記のような宣言をしました。
環境・気候非常事態宣言
- 地域・事業所・組合員の活動推進社会のあり方の抜本的な転換を追求し、自らの事業・経営と組合員の生活の中から、地球環境と生態系を守るための行動と、持続可能な地域と社会の実現に全力を尽くす。
- 具体的な CO2 削減目標と新たな事業・産業の創造パリ協定の「産業革命以前に比べて1.5度未満に気温上昇を抑える」「CO2排出ゼロ」を基本目標とした事業・産業・経済のあり方を追求する。
- 行政や多様な組織・個人との連帯「環境・気候非常事態宣言」を国及び地方公共団体など多くの人々に呼びかけ、共有し、パリ協定に基づく意欲的な目標を設定し、共に行動する。
- 協同労働による社会変革「協同労働」の普及を通して、あらゆる分野とテーマの中で創造し、対立と排除のない、平和と共存・共生の文化を広げる。
- 構成団体における対話・行動の促進と共有本宣言を内外に発し、行動を開始し、具体的な行動計画と活動総括を各団体総会で確認・報告する。

2050年をめざして。地球に負荷をかけない積極的な取り組み

「環境・気候非常事態宣言」に基づく活動は多岐に及んでいます。そのひとつとして、協同労働で働く事業所メンバー有志で「気候・環境アクションチーム」を結成。各組織での計画化、問題意識を高める学習・交流、アクション結果の集約・数値化・全国共有の推進を提案しています。当面の目標は、2050年のカーボンニュートラルの実現、2030 年までの温室効果ガス排出量50%削減です。

この提案を受け、ワーカーズコープ・センター事業団は、2050年までの温室効果ガス排出実質ゼロ、2030年までの排出量50%削減を目標として定め、全事業所・組合員で気候・環境アクションに取り組んでいます。以下に、その一例をご紹介します。

組織全体の取組みの一例



- 電気をつくる人・つかう人が再生可能エネルギーでつながる「みんな電力」への事業所の電力切替(全国で253拠点・年919トンCO2排出削減)廃食用油を回収してバイオディーゼル燃料を精製する事業・活動を実施し、カーボンニュートラルへの貢献(全国3拠点)
- 事業所でのエシカルパソコンの使用(ZERO PC)新品パソコンではなくエシカルパソコンを導入した際のCO2削減量は1台当たり210kg-CO2 。延べ27台導入し、これまでのC O 2削減量は5670kg-CO2。
- 「CO2排出量見える化調査アプリ」を導入。事業所や組織全体のCO2削減量を見える化し、みんなが実感を持てる取組を開始(2022年~)。
- 「木こり屋ブンブンバウム」(広島県)が管理する森林は519ha(東京ドーム100個分)で年間1000トンのCO2を吸収。
- 事業所・組合員家庭から出る野菜くずを堆肥化するLFCコンポストが全国157か所に拡大。
- 但馬事業所(兵庫県)が取り組む「森のようちえんつむぐり」で活動する里山が、環境省「自然共生サイト」に登録

ともにつくる、私たちの未来 -第2回ワーカーズコープ地球環境サミット           

気候・環境アクションチームでは、2023年度から「ワーカーズコープ地球環境サミット」を開催し、組織全体での環境負荷軽減活動を推進しています。2024年度は下記内容にて開催しました。
第2回ワーカーズコープ地球環境サミット


第2回サミットで報告された特徴的な事例をご紹介します。
電気を使わない日【センター事業団 九州沖縄事業本部に所属する事業所】
日々どれだけ私たちがCO2を排出しているか実感するため、九州事業本部の呼びかけで11/21(またはこの週の1日)に「電気を使わない日」を事業所で実施(参加:20現場・150名)。非日常を楽しむこと、自然とふれあう(外で会議・子どもと一緒にゴミ拾い)ことも大事にしながら、防災・災害対応などをみんなで工夫し、楽しみながら活動し、利用者・家族・地域に発信しました。また、1日電気を使わないとCO2がどれくらい減るのかを、事業所ごとに算出してみました。これにより、行動に移すために見える化が大切なことが実感できました。

鹿児島県:姶良(あいら)事業所第2児童デイサービスおひさまでは、箒で掃除をしたり、カセットコンロでインスタント麺をつくったり、新聞紙スリッパで暖をとったり。いろいろ工夫して利用者さんと過ごしました。

福岡県:ふくおか事業所CoCo.Com(放課後等デイサービス)では、午前は篠栗(ささぐり)の山で焚火をしながらスタッフ会議。午後の放課後等デイサービスの子どもたちが来る時間も、事前に保護者に周知したうえで電気を消して過ごしました。

沖縄県:那覇地福かふう・じどうくらぶKANASA(学童)では、当日は子どもたちと一緒に、周辺のごみ拾い活動を実施。身近なところで環境の問題を考えられる取り組みとなりました。

福岡県:大野城事業所みんなのおうち ほっとのたねでは、子どもたちが来所する放課後時間帯に、電気をつけない生活を体験。最初に遊びに来た子に説明をすると、その子が次に来た子に「今日は地球にやさしい節電の日なんだって!」とスタッフより先に声をかけてくれたのが印象的でした。


電気を使わない日の呼びかけチラシ

事業所の電力の見える化


縁側に集まり活動するこどもたち


新聞紙でつくったスリッパ

焚火を囲んでスタッフ会議

保育園のこどもと一緒にコンポスト【センター事業団 渋谷わかば事業所 笹幡保育園】
保育園での給食調理時に出る野菜の皮を、子どもたちがちぎってコンポストへ。野菜くずから年100キロの堆肥ができました。家庭でもコンポストをやりたい!という子どもも増えています。野菜の皮から堆肥をつくり、自分たちが食べる野菜(食材)になるという食の循環を体験的に学ぶ良い機会となっています。コンポストは1教室に2バック設置。来年はこの取組で出来る堆肥でブルーベリーを育成予定です。

水分含有量が50%もある生ごみ処理は大きな課題で、「水を燃やすために化石燃料を使ってCO2を排出する」と皮肉られるほど。そこで、ワーカーズコープ・センター事業団九州沖縄事業本部鹿児島エリアでは、鹿児島県産の木材、竹チップ、米ぬかなどを使った「域内循環の木製コンポスト」で生ごみを処理。CO2排出を削減しようと動き出しました。県の補助金を活用した木製コンポストボックス「ネゴナッター」の使用も始めています。


こどもたちと一緒にコンポストづくり


完成したコンポスト

生ごみはみんなで管理

事業所が使うエネルギー量も削減へ【センター事業団 ふじみ野デイサービス「そらまめ」】
東日本大震災により福島から市内公務員住宅に避難してきた人たちの社会連帯活動(農園)から始まった事業所。「自分たちが使用する電気はできるだけ自分たちでつくりたい」との思いから事業所の屋根にソーラーパネルを設置、「そらまめ発電所」としてみんな電力に登録して、使わない電力を売電しています。

2024年度は省エネをテーマに地域で「断熱ワークショップ」を開催(3月)。その後みんなの出資と補助金を活用し、事業所の断熱工事(トリプルガラス窓)を実施(11月)。暖房費が抑えられるうえ、利用者のヒートショックや熱中症などを防ぐ効果も実感しています。

断熱ワークショップの様子

事業所の窓の断熱工事

「断熱設備の設置前後の冬期(12月~3月の4か月)の電気使用量を比較すると、設置前の2023年度では 2904 kWh、設置後は 2166 kWhで、738 kWh(25%)削減できました(下図)」



ワーカーズコープ・センター事業団の環境への取り組みは地域や事業内容によってさまざまですが、それぞれの事業所で、無理なく、楽しく、持続可能で、みんなで取り組めるような工夫を行っています。
参考資料
アースデイ東京2025 
https://www.earthday-tokyo.org/event/earthday2025
アースデイ東京2025ワーカーズコープビレッジは、2025 国際協同組合年事業です
https://www.japan.coop/iyc2025/
気候環境アクションチームが運営するプラットフォーム「エシカルワークス」 
https://ethicalworks.roukyou.gr.jp/

エシカルワークスのトップページ

*「もっと詳しく知りたい」「労働者協同組合に興味がある」という方や団体は、下記、ワーカーズコープ・センター事業団までご連絡・ご相談ください。



労働者協同組合ワーカーズコープ・センター事業団 概要

労働者協同組合法について(2020年12月成立、2022年10月施行)
労働者協同組合(ワーカーズコープ)にはこれまで農協・生協・漁協のような法人格がなく、「協同労働」の法制化をめざす動きが1998年から始まりました。協同労働の実践を全国で広げ、団体署名や意見書の採択に取り組む中で、与野党全会派一致で法制化が実現しました。

協同労働とは「協同の関係」で働くこと。働く人が自ら出資して組合員となり、話し合って事業を行う働き方です。企業組合やNPO法人と違い認可認証が不要で、NPO法人のように活動分野の規定もなく3人以上で設立ができます(NPO法人は10人以上、出資不可)。

法律では、出資額に関係なく「一人一票」の権利が認められています。「一人ひとりが出資して組合員となり、意見反映を通じて運営に参加し、自ら事業に従事する」、これが労働者協同組合の基本原理です。この法律を活用し、協同労働が社会を変えていく推進力となることを目指します。
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